2025.03.26 【関西エレクトロニクス産業特集】大阪・関西万博を語る 日本国際博覧会協会 石毛博行事務総長
「世界」と「未来」を堪能
〝出会いをつくり誰かに届ける〟
日本国際博覧会協会の石毛博行事務総長は神戸商工会議所主催のオンライン講演会で、万博の2大コンテンツともいえる「世界」と「未来」を十分堪能してほしいと語った。石毛事務総長が訴えた「万博の楽しみ方」とは。講演要旨は次の通り。
いまなぜ万博か
4月13日の開幕を前に「万博ってなんでやるの?」と聞かれる。ネットでつながる時代に意味があるの、ということだろう。われわれ協会は1月3日の一部新聞に、万博開催の意義を、次のようなやさしい言葉でステートメントとして発表した。
「万博で知らない人と出会う。知らない文化、知らないアイデア、知らない価値観などたくさんの出会いをつくり、誰かに届ける。たくさんの偶然の出会いにより、遠い国の知恵が別の国の課題を解決するかもしれない」。「まだ見ぬ世界、まだ見ぬ未来」を経験するのが万博だといえる。
人類共通の課題をテーマとして半年間同じ場所に集まり、「いのち」をテーマに、ともに未来社会について考え、交流する。コロナ禍が明けたもののロシアのウクライナ侵攻、イスラエルとガザの紛争などにより世界の分断が進むいま、世界から託された大阪・関西万博開催の意義は大きい。
3つの魅力
協会は万博会場内外で働くボランティアを募集したが、目標2万人のところ5万人の応募があった。応募者の40%が10~20代で若い層が万博に関心があることを痛感した。
一時期、遅れが心配されていた海外パビリオン建設工事も、昨年12月に参加国が自前で建設するタイプAの47パビリオン全てが着工した。いまや多くパビリオンが内装工事の時期だ。
大阪・関西万博の魅力として①世界のいまを知る②いのちの未来を考える③未来社会の実験場、の3点を挙げたい。①ではパスポートなしで楽しめる世界旅行といわれるように、多くのパビリオンの〝華〟が満喫できる。特にドイツの〝Wa(ワ)!〟をテーマに循環型経済を表現したパビリオンを注目したい。また、次回の万博開催国サウジアラビアが約3000平方メートルの敷地に17の建物を建設、次回開催国の意気込みを見せている。竹材を使った建築も中国らしい。世界のいまを知るという意味では、参加国の公式行事があるナショナルデーにも注目してほしい。
②では8人のプロデューサーによる各シグナチャーパビリオンが「いのち」にフォーカス、それぞれのテーマを展開。③の未来社会の実験場では、水素社会、空飛ぶクルマ、EVバス、ペロブスカイト太陽電池、カーボンリサイクル、キャッシュレスが実験を通して社会実装に備える。
そのほか、日本館、火星の石、トイレに利用される大阪城の「残念石」などお勧めの題材はいくつもある。
最後に、万博は混まない4、5月の来場を希望する。後半に混み合うことは過去の万博で立証済み。会場は見どころが満載。1回の入場では無理。通期パスを利用して複数回の来場やお子さんの来場も協会としてお勧めしたい。