2025.04.23 半導体供給網の強化へ「後工程」の業界団体発足 中小企業の連携促進
正会員のアムコー・テクノロジー熊本工場(大津町)の外観
半導体チップを完成品に組み立てる「後工程」の受託製造を担う20社超が集まり、業界団体を立ち上げた。日本の後工程分野は中小企業が多く、業界の認知度や結束が不十分だった。前工程を中心に各地で半導体の製造拠点設立や増強が進む中、後工程でも各社の連携を強化したい考えだ。
21日に設立した団体は「日本OSAT連合会」。OSATとは、半導体メーカーや半導体設計に特化するファブレスから、後工程に当たるパッケージングとテストを受託する企業のこと。正会員には、アオイ電子や米アムコー・テクノロジーの日本法人などOSATから23社が名を連ねる。5月には法人格を取得する予定。
現在、熊本県に立地するTSMC(台湾積体電路製造)の工場をはじめ、半導体前工程の製造設備への投資が盛んになっている。ところが後工程は、現在アジアを中心とした海外工場に頼る側面が大きい。日本に拠点があるとしても中小企業が多く、大規模に連携する流れを作りづらかった。それでも、半導体製造の内製化は前工程に限った動きではなく、後工程の強化も必要であり、今回の立ち上げに至った。
そこで同団体は、半導体のサプライチェーン(供給網)を支える後工程産業の振興に向けて、調査・研究を進めるとともに、政策提言や広報活動などにも注力。具体的には、生産関連データベースの構築やデジタルトランスフォーメーション(DX)による品質向上に取り組むとともに、生産ラインの自動化や半導体の実装・テスト技術の進化、後工程技術者の育成といった活動にも力を入れる計画だ。