2025.04.28 シンガポールに新工場、半導体生産能力を1.5倍に拡大 台湾UMC
UMCのシンガポール工場の外観
ファウンドリー大手の台湾UMCが、シンガポールに新工場を開設した。既存工場に隣接する新施設は、第1期工事で最大50億ドルを投じ、2026年の量産開始を予定している。これにより、UMCのシンガポールでの年間ウエハー生産能力は、現在の67万8000枚から100万枚超へと拡大する見込みだ。
新工場は、22ナノメートルと28ナノメートルプロセスに対応し、通信やIoT、自動車、AI(人工知能)向け半導体を生産する。シンガポールの最先端ファウンドリーの一つになるという。
同社は4月に式典を開催。ガン・キム・ヨン副首相兼通商産業大臣ら政府高官が出席した。UMCのSC・チェン社長は「シンガポールの最新鋭工場は、UMCの新たな成長を示す象徴的な施設。コネクティビティーやオートモーティブ、AIなど絶え間ない技術革新にけん引される将来の半導体需要に対応する」と語った。シンガポール経済開発庁(EDB)のジャーメイン・ロイ専務理事も「UMCの投資は、シンガポールの半導体競争力を高める」と期待を示した。
同社は現在、シンガポールで約1800人を雇用しており、今回の拡張により、今後2~3年でプロセスエンジニアなど約700人の新規雇用を見込む。新工場は持続可能性にも配慮され、グリーンマーク・ゴールドプラス認証を取得。屋上には約1万7949平方メートルのソーラーパネルを設置し、2050年までに100%再生可能エネルギーでの稼働を目指す。
工場新設の背景には、米中対立の影響で半導体生産拠点の分散化が進む世界情勢がある。シンガポールへの半導体関連投資は堅調に拡大しており、EDBによると、24年のエレクトロニクス分野の投資額は約76億6500万シンガポールドルに達した。
<執筆・構成=半導体ナビ>