2025.07.02 「半導体R&D支援へ政府予算見直しを」 国民民主党・浅野衆院議員に聞く

研究開発支援の必要を語る浅野議員

 半導体受託製造新興Rapidus(ラピダス)への政府支援に条件付きで賛成の立場をとった国民民主党。衆議院議員の浅野哲氏に同党の半導体政策を尋ねた。

 浅野氏は日立製作所の日立研究所出身で微小電気機械システム(MEMS)センサーなどに携わった。同氏を政治顧問に迎える産別労働組合、電機連合幹部から「トップエンジニアであった」との人物評もあり、製造業と研究開発に関する政策を重視する。

 浅野氏によると同党の半導体政策は政務調査会長が会長を兼務する「経済調査会」で議論する。

 半導体関連企業からの連絡や提言は各社工場が立地する地域の議員個人が窓口として考えられるほか党として「企業団体局」が受け付ける。業界団体とは毎秋の税制要望で直接協議を持つ。半導体政策に関する提言は単体で行うより「デジタル変革(DX)推進、デジタル化促進のための提言に半導体関係の支援拡充を項目として入れる団体が多い」という。

 ラピダスをはじめ政府の半導体産業振興については、浅野氏は意義を認めつつ、半導体を含め製造業を支えてきた政府の研究開発予算は横ばいまたは微減傾向にあり、党としてさらなる充実を求めるとした。国民民主党が必要を訴えた「AI関連技術の研究開発・活用推進法(AI新法)」の成立は前進と評価したが予算増には直結せず「予算内容の抜本的見直しは別途必要」とする。

 民間企業の研究開発支援では特許のような知的財産が生む所得の30%を所得控除する「イノベーション拠点税制」拡充を目指す。産業界の要望も踏まえ知財が適用された製品の売り上げを次の知財創出に使う場合インセンティブが働く仕組みを検討する。

 これに加え「政府が半導体、光電融合などの特定の分野で継続して支援する姿勢を表明すれば企業も投資判断がしやすくなる」と展望を語った。

 研究開発人材の育成では専門性に加え国際性も重視。大学においては海外との共同研究、連携を政府がより支援すべきとし、環境整備のため新たな研究開発特区制度や基金も想定する。

 日本企業が基礎研究に優れた世界の高度人材を確保できるようインド、欧州など海外拠点強化を政府が支援するアイデアも示した。

 浅野氏はまた米関税政策について未だ着地点が見えず性急な動きは避けるべきとしたうえで、中長期の視点に立った対策として「知財を強化すべき」と説き企業がライセンスとして知財を活用するノウハウや経験を増すことが重要とした。

 これに加え例えば半導体の材料、製造装置など日本に強みがある製品は関税で価格が上昇しても販売可能とし、各社が同様の競争力を確保するため自らの強みを分析する競争力評価を政府が支援するのは有効と語る。

 浅野氏は「日本しか作れない製品であれば関税100%でも米国は買わざるを得ない。それを知財として抑えれば当面の間は主導権をとれる」と述べ、カンフル剤的な補助金や税制優遇とは異なる取り組みを打ち出す。