2025.07.05 東京システムハウスが台湾企業と協業、IT監視プラットフォーム提供へ 中小企業に照準

左から中川氏、比毛氏、大野氏

まずは提案の「勝ちパターン」を探るまずは提案の「勝ちパターン」を探る

 ITサービスを提供する東京システムハウス(東京都品川区)が、ITソリューションを展開する台湾SYSCOM Computer Engineering (凌群電脳)と協業し、IT監視プラットフォーム「NExpert」の提供を開始した。

 NExpertは、ネットワーク機器やサーバー、複合機など企業内のさまざまなIT機器を監視するプラットフォーム。さまざまなメーカーのIT機器を一元管理できるため、セキュリティー管理の負担を軽減することが可能だ。

 25年度中は既存顧客10社への導入を目指す。

台湾では政府機関も利用

 NExpertは、さまざまな業界で利用されている。特に台湾では、厳しいセキュリティー対策が求められる金融機関や政府機関などでも導入が進んでいる。ネットワーク機器の状態を正確かつ視覚的に監視できるのが強みだ。

 一方、日本でターゲットにするのは中小企業。背景にあるのは、ネットワーク機器の監視・管理体制が整備されていない企業が多いからだ。

 東京システムハウスのデジタルエンタープライズ事業部で執行役員事業部長を務める比毛寛之氏は「中小企業にも届く東京システムハウス風のアプローチで、(NExpertの提供先として)既存の顧客層と重ねることができる」と語った。

 IT機器の監視サービスは競合製品も多いが、セキュリティーの脅威が増す中、潜在需要は高い。

 同事業部の中川智晴氏は「(ネットワーク機器の監視を)何もやっていない顧客が多い。今後DX(デジタルトランスフォーメーション)が進む中で重要になるダウンタイム減少のためにも、ケアして欲しい」と必要性を訴える。

30年近いSYSCOMとの協力関係

 同社とSYSCOMとは30年近く協力関係を築いてきた。プログラミング言語「COBOL」によるシステムの解析や開発が得意な企業として取引が始まった形だ。SYSCOMからは「レガシー対策に強く、大規模システムに対応してきた企業」と評価されていると比毛氏は分析する。

 開発力で強い結びつきのあった両社。2000年代まではそれなりの規模の取引があったが、10年頃から規模が縮小していったという。そうした中、協業のきっかけになったのがNExpertだ。協業発表もSYSCOMの50周年式典に合わせる力の入れようだ。

 同事業部の大野喬史氏も協業について「SYSCOMのソリューションを日本へ、当社のソリューションを台湾へ、相互に展開する架け橋となることで、共に成長していければ」と意気込む。ただ、同社の強みである、最新の技術や環境にシステムを刷新するモダナイゼーション需要が低い台湾への本格進出はまだ検討段階という。

 比毛氏は「あくまで感覚的な話だが」と断った上で、「アジア系の企業は長い付き合いを大切にして協力的な印象があるため、当社もそういうところを大切にしていきたい」と話している。