2025.07.08 【家電総合特集】調理家電 家事負担軽減や時短に貢献へ おいしさや健康志向にも対応
炊飯器、オーブンレンジは高級機が健闘する
調理家電は、豊かな食生活をサポートする多彩な商品がそろう中、共働き世帯や単身世帯の増加などを背景に、おいしさや健康志向に応えつつ、家事負担の軽減や時短ニーズに対応する商品戦略が強まっている。特徴的な商品がそろい、販売店にとっては提案しやすい商材が豊富だ。
調理家電分野の主力商品である炊飯器やオーブンレンジでは近年、おいしさ志向に支えられ、高級機が健闘している。
炊飯器では、IoT対応をはじめ、少量時短炊飯機能や、冷凍ご飯用のまとめ炊きコース搭載などのほか、必要な量だけ炊飯して食べ切りを提案する新しい食の提案も進む。
特にタイパ(時間対効果)への意識が高い若年層、DINKs層に向けて、パナソニックが自動計量IH炊飯器を投入するなど、新コンセプトの商品戦略も登場している。
一方、米不足、米価高騰と〝令和の米騒動〟が勃発し、炊飯器販売への影響が懸念されたが、高級炊飯器は堅調に推移した。高価な米を購入した以上、よりおいしく炊きたいと考えたユーザーが多かったようだ。
炊飯器市場では、お米のおいしい炊き上がりに不可欠な高火力を実現するIH(電磁加熱)式が中心で、出荷台数は2024年度で炊飯器全体の約7割を占める。
炊飯器の平均単価(日本電機工業会出荷統計ベース)は、コロナ禍で内食化の傾向が強まった20年度に1万9141円となったのを底に、21年度以降は上昇を続け、24年度には2万3115円まで高まった。ここ10年では最も高い平均単価で、価格が4万円以上の高級機種が台数ベースで54.3%、5万円以上は全体の34.5%に達している。
電子レンジ市場は、台数ベースの出荷はほぼ横ばいで推移するものの、金額ベースでは伸長しており、単価が上がっている。
日本電機工業会の24年度出荷統計では、前年度比99.7%の314万9000台で、3年連続のマイナスとなったものの、出荷金額は同105.5%と伸長した。
なお出荷台数の内訳をみると、超高級機のゾーンが拡大している。10万円以上の高級オーブンレンジは前年度比1.2倍強に拡大しており、本格的な調理機能を搭載した高額モデルが注目されている。
健康、おいしさ志向を背景に、家庭で本格的な料理を楽しみたいというユーザーが購入しているようで、食材を入れるだけでセンサーが最適な加熱調理を実現したり、IoT機能搭載によるメニューの広がりなど、使い勝手の良さが多くのユーザーに受け入れられるようになった。