2025.07.08 【家電総合特集】エコキュート 省エネ推進の大きな原動力 太陽光発電システムと連携も
カーボンニュートラル実現に向けエコキュート普及が加速
カーボンニュートラルの実現に向け、家庭部門での省エネは大きな課題となっている。省エネ推進の大きな原動力と期待される設備の一つが、家庭用の自然冷媒(CO₂)ヒートポンプ給湯機「エコキュート」だ。
エコキュートは今年3月に累計出荷台数が1000万台を突破し、さらなる普及に向けて弾みがついている状況。
また、日本冷凍空調工業会がまとめた2024年度のエコキュート出荷台数は、前年度比107.7%の66万4486台と、順調に拡大した。
カーボンニュートラル実現のため、国も導入支援に力を入れている。「給湯省エネ2025事業」では580億円の予算が組まれ、予算に対する補助申請額の割合は35%(7月6日時点)となっている。
同事業ではエコキュートをはじめ、ハイブリッド給湯器、家庭用燃料電池を設置する際に補助金が出る。エコキュートの場合は主な補助額として1台当たり6~17万円の導入支援が受けられる。
エコキュートは大気中の熱を有効に活用するヒートポンプ技術により、家庭におけるエネルギー消費の約3割を占める給湯の省エネを加速させる機器として普及が進む。
製品も年々進化し、配管自動洗浄などさまざまな清潔・快適入浴機能の搭載、インターネットとの接続による利便性向上、災害時に生活用水として活用できるといったレジリエンス性など、使い勝手が向上している。
近年は、太陽光発電システムと連携して、お湯の形でエネルギーをためる「おひさまエコキュート」への関心も高い。
太陽光発電は、再生可能エネルギー導入目標の約4割(30年度)を占める最大のカテゴリー。ただ、導入が拡大するにつれて、天気の良い日には日中の供給(発電量)が過剰となり、出力制御が増大している。
このため、再エネの有効活用に向け、電力の需給バランスを取る調整弁の一つとして、おひさまエコキュートが注目される。
また、太陽光発電システムを導入する世帯では卒FIT(固定価格買い取り制度)ユーザーが増え、電力の自家消費ニーズが強まっているほか、給湯の省エネにとどまらず、カーボンフリー電力の活用による給湯器の脱炭素化にもつながることから期待は大きい。
加えて、国が普及を後押しするZEH(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)との相性も良く、ZEHに採用される高効率給湯器の7割がエコキュートとなっている。エコキュートの普及拡大に向け、各社も商品戦略を加速している。