2025.07.08 【家電総合特集】後半戦の取り組み パナソニック 品田正弘代表取締役 社長執行役員CEO

品田 社長

上質・高機能な商品群創出

ブラックフライデーなど10~12月 早めに仕掛ける

 今期に入り家電事業については、上期(4~9月)は前年クリアできる見通しで推移している。好調な商品カテゴリーは四つあり、その一つは空調だ。

 海外ではアジア市場が天候要因で出遅れたところはあったものの、日本市場では早くからの梅雨明けで、6月下旬から実需がスパークしている。そうした状況の中で、ハイエンドミドルのEXシリーズが、価格と性能のバランスが認められ好評だ。

 二つ目はパナソニック エンターテインメント&コミュニケーションの製品となるが、防犯意識の高まりを背景にセキュリティーカメラ、ドアホンが順調に動いている。中でもセキュリティーカメラVL-CV100Kが好調だ。

 三つ目は、2027年末に蛍光灯の製造と輸入が禁止される、いわゆる「2027年問題」を背景として、LEDシーリングライト、LED電球の販売が伸びている。

 四つ目は調理家電で、特に炊飯器やコーヒーメーカーNC-A58が健闘している。A58は新製品としては6年ぶり、フルモデルチェンジは30年ぶりとなり、豆から自動で抽出できることなどがコーヒー好きのユーザーから評価されている。

 炊飯器については、強い商品分野ではあるが、市場成熟化の中でポジションが下がっていたので、現在巻き返しを図っている。

 備蓄米が話題となる中、お米の状態を見極めておいしく炊き上げる「ビストロ匠技AI」を搭載したSR-WBBシリーズが中でも好評で、全体としてかなり占有率を盛り返している。

 スチームオーブンレンジ ビストロについても、ヘルシー志向を受け、新機能のおまかせ熱風フライを搭載したNE-UBS10Dが好調で、占有率を伸ばせている。

 また、ドラム式洗濯乾燥機では、省スペースでも設置可能なコンパクトタイプのSDシリーズが好調だ。

 SDシリーズは、日本の設計のやり方を見直し、品質は担保しつつグローバル標準部品を採用し、コスト競争力をつけるという考え方で開発した。

 われわれが中国で身に付けてきたスピード感や量産設計ノウハウを生かし、コストとスペックがバランスし、グローバル標準の設計の考え方を大胆に取り入れた商品開発を、今後積極的に進める。スチームオーブンレンジ ビストロも現地の中国部材を使い、筐体(きょうたい)を共通化するなど、コスト競争力をつけるという考え方で開発している。

 下期に向けては、アメリカ最大の商戦、ブラックフライデーが国内消費行動にも影響を及ぼす中、こうした変化に対応して、従来のような冬のボーナス商戦一点集中から、早めの商戦の仕掛けに取り組みたい。

 この2年くらいの動きをみると、ブラックフライデーの先行セールが早くも10月あたりから仕掛けられるようになっている。

 このため10、11、12月をパッケージングで商戦期と捉え、いろいろな商品や宣伝販促の仕掛けをしていくことに今年初めて挑戦したいと考えている。

 新商品の戦略としては、人口が減る中でも世帯数は変わらず、高齢2人世帯や単身世帯が増えていることに対応し、ちょうど良いサイズや容量ながら、上質で高機能といった、SDシリーズのような商品群の創出に挑戦していく。