2025.07.08 【家電総合特集】テレビ 大画面・高機能モデルにシフト ミニLEDバックライト台頭
大画面テレビの提案が進む
2025年の国内テレビ市場は買い替え需要が中心となり年間450万~460万台で推移する見通しだ。市場は大きく伸びていかないものの、買い替え時には大画面で高付加価値モデルを購入する傾向が高まっていることから、各社は、より大画面化、高機能モデルの提案に軸足を移そうとしている。夏商戦から年末にかけて各社の25年モデルが出そろうため、メーカーと流通が一体となり展示を強化し買い替え需要を喚起することが求められる。
24年の国内テレビ市場は前年比2.6%増の448万台だった(電子情報技術産業協会)。市場は大きく拡大していないものの大画面テレビの市場は着実に拡大しており、60V型以上の出荷は堅調だ。
テレビの使用年数が10年を超えるなかで買い替え時により大画面で高機能モデルを選ぶ傾向も出てきている。「10年以上使うため上位機を検討する人も多い」(メーカー関係者)という声もあり、各社は大画面で高画質、高音質、高機能を前面に出した機種をフラッグシップ機として展開してきている。
各社の製品展開をみると、これまで画質を求めた最上位機は高精細4K有機ELテレビだったが、この数年でミニLEDバックライト液晶モデルが一気に台頭してきた。自発光の有機ELは黒の再現性と高いコントラストが特長で、映画なども高画質で楽しめた。半面、液晶は明るさに優位性があるものの、黒の再現性やコントラストが有機ELに及ばなかった。
ところがミニLEDバックライトにより、非常に細かくバックライトの点灯を制御できるため、有機ELに近い映像表現ができるようになってきた。各社ともバックライトの制御に力を入れ、明るさと高コントラストを両立した製品が出てくるようになった。
さらに価格も有機ELより抑えられ、大画面化もしやすいことからこの1年でミニLEDモデルを購入する層が一気に拡大している。
各社の動きをみると、パナソニックは有機ELをフラッグシップ機と位置づけ、ミニLED液晶モデルを上位機として展開。ソニーは今年、ミニLEDバックライトモデルを強化し98V型の大画面モデルも投入した。シャープはミニLED液晶と有機ELでフラッグシップ機を発売。TVS REGZAは「有機ELもミニLEDも本気」とうたいフラッグシップからエントリーまで幅広く製品をそろえる。
各社が打ち出すのは高画質と高音質だが、この1年で特徴的なのはインターネット動画も楽しめることを前面に出すところが大半を占めるようになったことだ。放送だけでなくネット動画を高画質で視聴できることを打ち出す。さらに大画面化の提案も進む。TVS REGZAは85V型以上110V型まで8ラインを展開。今後大画面化はさらに進むとみられ、60V型以上のラインアップはミニLEDを中心にさらに増えるとみられる。