2025.07.08 【家電総合特集】ホームシアター 本格的な立体音響が身近に テレビ、サウンドバーが進化
立体音響の提案が進んでいる
映画館と同じ音響を家庭でも楽しめる立体音響が浸透してきている。デジタル処理技術の進化でテレビのスピーカーでも立体音響を再現できるようになってきた。これまで本格的なシステムでなければ実現できなかったホームシアターがより身近になりつつあり、テレビメーカーや音響メーカーは手軽に本格的な立体音響が楽しめる、テレビの前に置く棒状スピーカー「サウンドバー」なども発売している。
これまでのホームシアターはドルビーデジタルによる前方左右2スピーカー、前方中央スピーカー、斜め後方左右2スピーカーに低音のウーハーを組み合わせた5.1チャンネルが主流だったが、現在は天井にもスピーカーを設置し上からも音が降り注ぎ、まるでその場にいるかのような没入感のある立体音響が実現できるようになってきた。
立体音響で主流なのがドルビーラボラトリーズのシネマ音響「ドルビーアトモス」。映像に合わせて音を移動させるため、現実と同じ空間にいるような音が体感できる。多くのハリウッド制作スタジオに採用され対応した映画タイトルも多い。同様に米DTSのマルチチャンネルオーディオ技術「DTS:X」も対応する機器が増えている。
現在は天井スピーカーの代わりに、床に設置したスピーカーの上部に上方向に音を出すイネーブルドスピーカーを搭載し、天井に音を反射させて降り注ぐような音を再現する技術も確立。これにデジタル処理技術を組み合わせることで、前方に設置したスピーカーのみで立体音響を仮想的に再現できるようになった。
テレビ上位モデルのスピーカーはこの仕組みを採用している。ただどのテレビでも立体音響が再現できるわけではないため、サウンドバーを使い立体音響を提案する動きも本格化している。サウンドバーはテレビの前に設置するだけで高音質化が図れるため、一時期製品群が一気に増えた。
しかしテレビの音響技術の発展でサウンドバーの市場は伸び悩み、現在は一部のテレビメーカーと音響メーカーが製品を展開するのみだ。
ただここにきて立体音響を手軽に実現できるサウンドバーが続々と発売されてきている。重低音を奏でるサブウーハーをセットにしたものや、スピーカーをワイヤレス接続できるモデルも出ており、設置のハードルを下げたものも増えてきた。サウンドバーを設置すれば、テレビのグレードに左右されずに本格的な立体音響が楽しめるようになる。
テレビメーカーではソニーやシャープ、TVS REGZA、LGエレクトロニクスが製品群を拡充しているほか、音響メーカーではヤマハやボーズなども製品を展開。この1年ではより簡易的なサウンドバーを提案する動きも出てきた。
サウンドバーを軸にしたホームシアター需要の発掘も今後必要になりそうだ。