2025.09.09 三菱電機、1300億円でOTセキュリティーの米企業を買収 過去最大規模
9日オンライン会見した武田専務
三菱電機は9日、電力や鉄道、製造業向けのOT(運用制御技術)向けセキュリティーを展開する米Nozomi Networks(ノゾミネットワークス)を買収すると発表した。買収額は約8億8300万ドル(約1300億円)で同社にとって過去最大規模。2025年度中の買収完了を目指す。
三菱は自社の工場運用の知見を生かし、製造現場のデジタル化の支援を強化している。23年からは専門組織「OT事業推進部」を立ち上げ、OTセキュリティー事業に本格的に取り組んでいる。今回の買収は同社OTセキュリティー事業領域を強化する狙いがある。
Nozomiは、OTセキュリティーに特化した事業展開で、世界75カ国で1000社以上の顧客基盤を持ち急成長をしている。三菱はOTセキュリティー強化の一環で24年にNozomiに7%出資。自社工場のOT領域のセキュリティーを強化するとともに、制御機器に侵入検知センサーを搭載した製品展開も始めている。
今回の買収により、三菱のOTの知見とNozomiの知見を融合し、グローバルでOTセキュリティーを展開する狙いだ。Nozomiの顧客基盤に両社技術を融合した製品・サービスも展開していく考えだ。
三菱は現在、企業などに向けたIT(情報技術)領域とOT領域の両面でセキュリティーサービスを展開している。現在のセキュリティー関連事業は約200億円規模。同日会見した専務執行役の武田聡CDO(最高デジタル責任者)は「今回の買収により、OTセキュリティーを含むセキュリティー事業全体を10年後に10倍に拡大していく」と見通しを示した。
Nozomiの買収は24年から展開しているデジタル基盤「Serendie(セレンディ)」関連事業の拡大にも寄与する見込み。武田氏は「OTセキュリティーだけでなく、セレンディと親和性が高く事業を飛躍させられる」と強調。30年度のセレンディ関連売り上げ目標1兆1000億円以上を確実なものにする考えも示した。