2025.09.30 【電波新聞75周年特集】ご愛読への感謝と新たな挑戦に寄せて 電波新聞社 代表取締役 平山勉

〝デジタル版〟〝週刊紙〟の2本柱

未来を共創するメディアへ

 戦後間もない1950(昭和25)年。町の電器店で売られていたラジオは、メーカーの完成品を仕入れるのではなく、部品を集めて組み立てて販売するのが一般的でした。日本がまだ貧しさの中にあった、そんな時代のことです。

 「業界の健全な発展を念願として報道の任務にまい進する」という理念のもと、松下電器(現パナソニック)創業者の松下幸之助氏をはじめとする先達の励ましと、パイオニア創業者・松本望氏のご厚意を受けて、創業者平山秀雄は「電波新聞」を創刊し、以来75年にわたり、電機業界とともに歩んでまいりました。

 日本の家電メーカーが世界へと羽ばたく黎明(れいめい)期、私たちは英文誌を発行し、日本の製品を海外へと紹介する一翼を担いました。また82年に創刊した「マイコンBASICマガジン」は多くの若き技術者たちを輩出するきっかけをつくり、日本の電機・IT産業の礎を築く一助となったことも私たちの誇りです。

 時代は進み、インターネットの普及、そしてSNSや生成AI(人工知能)の進化が情報環境を大きく変え、私たちを取り巻く報道環境も目まぐるしく変化し続けております。

 しかし、便利さの裏側で、フェイクニュースや誤った一次情報が氾濫し、正確で信頼できる情報の重要性は、かつてないほど高まっています。そこで私たちは、このたび「日刊電波新聞」を休刊し、速報性を重視した「デジタル版」と、より掘り下げた情報提供に重きを置いた「週刊紙」という新たな二本柱の報道体制へ移行する決断をいたしました。私たちは単なる報道機関ではなく、「経営判断に資する専門情報」を提供する存在として、これからも皆さまの事業と未来を支えてまいります。

 「社史をつくる前に業界の歴史をつくりたい」という創業者の言葉は、今も私たちの胸に刻まれています。私たちのVisionは「ユニークな発想でモノづくり社会を支え、世界を豊かにする」こと。メディアの枠を超え、皆さまとともに課題を考え、未来を〝共創〟していくメディアでありたいと考えております。

 75年の長きにわたり「電波新聞」をご愛読いただいた皆さまに、心より感謝申し上げます。引き続きご購読賜り、ともに明るい未来を切り開いてまいりたく存じます。今後とも一層のご支援とご愛顧を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

 株式会社電波新聞社

 代表取締役 平山 勉