2025.10.02 サンノプコ、大阪・関西万博に出展 国産木材の未利用材使用のテキスタイル使った洋服など展示

上田学園上田安子服飾専門学校の学生がデザインした洋服

サンノプコが開発した高機能テキスタイル「MOC-TEX」サンノプコが開発した高機能テキスタイル「MOC-TEX」

 三洋化成工業の子会社サンノプコ(京都市東山区)は大阪・関西万博に出展し、国産木材の未利用材からできた高機能テキスタイル「MOC-TEX」を使用した洋服などを展示した。来場者は実際に製品に触れながら、森林が直面している環境問題やその解決策について学んだ。

 国内の人工林の6割以上が出荷適齢期の50年を過ぎて放置されている中、 MOC-TEXは、化学材料メーカーとして木材を新たな用途で使用可能にしようと開発された。森林を長期間放置すると災害の恐れや二酸化炭素の吸収量の減少が懸念されるほか、間伐材など使い道のない未利用木材の活用も課題になっていることから、こうした素材の有効活用につなげるのが狙いだ。

 基盤製品研究部機能樹脂グループの渡辺将浩主任は「皮のように加工することで国内の木材の利用を促進していきたい」と話す。

 MOC-TEX の特徴は、吸放湿性や消臭性があること。色を塗ると適度なむらがあり、合成皮革とは違った天然素材ならではの味わいを生かすことができる。

 3月にはJAL(日本航空)の機内シートのヘッドレストカバーに採用されたほか、名刺入れなど一部の商品は一般消費者向けに販売もしている。

 今回は、同社と環境関連製品の開発に取り組むケィ・マック(大阪市淀川区)、上田学園上田安子服飾専門学校(大阪市北区)の3者が「TEAM MOC-TEX」として出展。ケィ・マックが大阪の企業として出展を模索する中で、未利用材を使っていることがSDGs達成への貢献を目指す万博の目的と一致したことから同社に声がかかった。ケィ・マックと上田安子服飾専門学校は以前から交流があったという。

 会場となったフューチャーライフゾーンでは、9月22日から28日までMOC-TEXを使った洋服や帽子、パスケース、御朱印帳など15点ほどを展示。子ども服やニット、アウターなど3点は同校の生徒がデザインした。子ども服や帽子、サンダルなどは試着もしてもらった。来場者からは「木材から洋服ができるのか」と驚きの声も上がるなど好評だった。

 MOC-TEXを使ったアウターの作製は今回が初めて。今後は、アパレル関係の企業にもMOC-TEXを提案していきたい考えだ。

 渡辺主任は「今回の展示でアパレル製品も作れることが分かった。建物の内装材や椅子やソファへの利用は既に開発が進んでおり、今後、実績を積み上げたい」と意気込む。