2025.10.03 日立とぷらっとホームが、「Web3体験」で新たな実証 生体認証とNFT連携 

実証実験のイメージ図  出所:日立製作所

 日立製作所とコンピューター周辺機器やネットワーク機器を手がけるぷらっとホームは、次世代インターネットとして注目を集める「Web3(ウェブスリー)」を活用した新たな実証実験を始めると発表した。スマートフォンなどのデバイスを気にせず、生体認証だけでWeb3を体験できるかを検証する。第1弾として4日に秋田県大仙市で開かれる屋外イベント「大曲の花火 -秋の章-」で、技術の有効性を確かめる計画だ。

 ぷらっとホームが提供するのは、現実世界の設備やデバイスなどをブロックチェーン(分散型台帳)上に記録するための非代替性トークン(NFT)技術「ThingsToken」。この技術に、日立の公開型生体認証基盤「PBI」を活用した分散型ID管理技術「BioSSI 技術」を連携させる。PBIは生体情報を復元不可能な形に変換し、「公開鍵」として安全に利用することで、プライバシーの保護と高度なセキュリティーを両立する生体認証基盤だ。

 実証では、Web3空間上で両技術を連携させることでデジタルチケットと生体情報をひも付け、本人確認や権利情報の管理を一体化させる。スマホなどの所持と操作を前提としないため、高齢者や子どもでも顔認証をするだけでWeb3サービスを利用できる。

 第1弾の実証では、実験の参加者が事前に登録した顔情報から生成した公開鍵と、ThingsTokenでNFT 化された花火大会の入場チケットをひも付け、Web3空間で管理する。入場時に顔認証を行うことで、本人確認だけでなく有料席への入場権利の確認も可能となり、紙の入場チケットと 引き換えることができる。これによって、チケットの紛失や所持忘れの対策につながるほか、厳格な本人確認とチケットの所有権の確実な証明により、チケットの偽造や不正転売を防止できるようになる。

 今後は、国内で実施されるイベントで、地域クーポンやホテル宿泊資格など複数の資格情報と生体情報を結び付けて自己主権型で管理し、さまざまなサービスをデバイスの所持に関わらず利用できる新たな Web3経済圏を形成することを視野に入れている。