2025.10.15 山梨県とニチコンなど10社、グリーン水素の製造開始 設備は日本最大

 山梨県とニチコン、東レなどの技術開発参画企業10社は、サントリー天然水南アルプス白州工場(山梨県北杜市)、サントリー白州蒸溜所(同)の脱炭素化に向けて、製造時に二酸化炭素(CO2)を排出しないグリーン水素の製造と天然水工場での利用を始めた。設置するグリーン水素製造設備の能力は16MWと日本最大となる。

 同県と10社が取り組むのは、再生可能エネルギー由来の電力を活用し水の電気分解から水素を製造するP2G(パワー・ツー・ガス)システムの実証事業。「カーボンニュートラル実現へ向けた大規模P2Gシステムによるエネルギー需要転換・利用技術開発」に係る実証として行う。

 同事業は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金事業による助成を受けて実施。24時間365日稼働した場合、年間2200tの水素を製造し、1万6000t のCO2排出量を削減できる。利用面では、高効率で低窒素酸化物(NOx)の水素ボイラーを開発し、天然水工場で使う熱源の一部を化石燃料から水素に転換する実証を進める。

 さらに同工場と同蒸溜所の脱炭素化に加えて、周辺地域での水素の活用拡大を推進。2026年末までの期間で、再エネ由来の電力の調達からグリーン水素での蒸気製造に至る一連のシステムを実証する。将来的には、再エネの大量導入に併せて、さまざまな地域や場所への同システムの展開を目指す。

 また、実証地を「グリーン水素パーク -白州-」と命名。県と10社は、カーボンニュートラル社会の実現に向け、固体高分子(PEM)形水電解によるグリーン水素製造の技術開発や、水素エネルギーの需要拡大に取り組む。