2025.10.16 戸田建設が「もっと行きたくなるオフィス」実現 スマートサービスを発信

「もっと行きたくなるオフィス」を実現するサービスを紹介する担当者=千葉市美浜区

オフィス内の設備を操作できるようにする「スマートオフィスアプリ」オフィス内の設備を操作できるようにする「スマートオフィスアプリ」

 デジタルの力で実現する「もっと行きたくなるオフィス」――。そんなテーマを掲けて働く場所のスマート化を追求する戸田建設が、千葉市美浜区の幕張メッセで開催中のデジタルイノベーションの総合展示会「CEATEC2025」で存在感を放っている。  

 目玉の一つが、便利で快適なオフィス環境を実現するスマートオフィスアプリ「T-BuSS(ティーバス)」だ。これに、リアルなオフィスとバーチャル空間をつなぐデジタルツインやロボットなどを組み合わせ、オフィス体験を継続的に進化させていきたい考えだ。

 T-BuSSは自社開発したスマートオフィスアプリで、昨年11月に開業した新社屋「TODA BUILDING」(東京都中央区)に導入した。ビル内の設備やサービスと連携したプラットフォームを活用して入居者へ便利なサービスを提供する。

 新社屋の入居フロア(8~12階)で働く同社の社員は約1800人。全社員の座席には、近距離無線通信(NFC)タグが貼られており、社員がアプリをインストールしたスマートフォンでNFCタグをスキャンすると、その位置にひもづく空調や照明などの設備を制御できる。それ以外にも社員の位置情報やトイレの空き情報を表示するなど、オフィスを可視化する機能も数多く搭載している。

 加えて、リアルとバーチャルを融合した新しい働く場「デジタルツインスマートオフィス」を導入した。アバター(分身)を使い交流するバーチャルオフィス「ovice」で、社員の屋内位置情報がT-BuSSによって検知され、どの社員がどこにいるのかがovice上にアバターで反映される仕組みを取り入れた。リモートワークの社員も同じovice上にアバターで出社することで、場所にとらわれないコミュニケーションをいつでも開始できる。例えば、アバター同士を近づけるだけで音声がつながり、即座にオンラインの打ち合わせを始められるという。

 T-BuSSにロボットを連動させることも可能だ。会議室などで飲み物を注文する際、カフェ用のT-BuSSタグをスマホでスキャンしてアプリの注文画面でドリンクを選ぶと、ロボットが指定の部屋まで自律走行で届けてくれる。配送や案内などの業務をサポートする合計4種のロボットを運用しているという。

 同社の役割は建物を建てて終わりではない。展示ブースでDX統轄部の担当者は、自社開発・運用のスマートオフィスサービスを通じて利用者や管理者、テナントから選ばれるオフィスづくりを進めることに意欲を示していた。