2025.10.31 日立、26年3月期業績を上方修正 送電網設備の更新需要やDX需要を取り込む
日立製作所は、2026年3月期の連結業績予想を上方修正した。売上高に相当する売上収益で前回予想から2000億円増の10兆3000億円(前期比5.3%増)、純利益で400億円増の7500億円(同20.3%増)に引き上げた。送電網設備の更新需要やデジタルトランスフォーメーション(DX)需要などが拡大する動きを織り込んだ。
調整後営業利益で前期比13.5%増の1兆1030億円、収益性の評価指標となる調整後EBITA(利払い・税引き・一部償却前利益)で同11.7%増の1兆2100億円を見込む。
米国の関税政策の影響などの短期的なリスクを抱えているが、DXや温室効果ガス排出量の削減を成長につなげるグリーントランスフォーメーション(GX)の需要が拡大する勢いは中長期で変わらないと想定。戦略投資や関税影響を織り込んでも、パワーグリッド(送配電網)を含むエナジー部門やITサービスなどが柱のデジタルシステム&サービス(DSS)部門などをけん引役に増収増益となる見通しだ。
売上収益と調整後EBITDAの通期見通しをセグメント別にみると、エナジー部門は送電網設備をアップグレードする需要や再生可能エネルギーの送電網への接続需要が拡大を続け、前回予想から上方修正。モビリティー部門は鉄道信号関連事業の買収効果に加えて、信号システム事業を中心に堅調に推移し、前回予想を上回る見込み。DSS部門は、拡大するDX需要などを追い風に国内ITサービスが順調な足取りをみせる一方、海外事業が欧米顧客の投資抑制などで苦戦し、売上収益を下方修正した。
30日発表した25年4~9月期の連結決算は、売上高が前年同期比5.3%増の4兆7874億円、調整後営業利益が同25.5%増の5080億円、純利益が同61.8%増の4728億円だった。
日立の加藤知巳執行役専務CFO(最高財務責任者)は同日のオンライン説明会で、「AI(人工知能)やデータセンターで変圧器などの注文を受けているが、大半を占める老朽化設備の更新や再エネの送電網接続による系統の安定化といった部分が堅調に増えている」と説明。「パワーグリッド事業で力強い需要を実感しており、35年まで伸びていく」との見方も示した。米国の関税影響については、「直接的な影響は減ってきているが、間接影響が徐々に増えており、合計では調整後EBITAで前回と同額の300億円のリスクを見通しに織り込んだ」としている。
 

 
				
							 
				
							 
				
							 
				 
				 
				 
				 
				 
				 

 
 
  
  
  
  
  
  
 
 
