2025.11.27 NTTドコモビジネスや国際航業など、石川県能登でダム管理DXを実証 

実証では、ドローンで取得した画像をAIで判読した

ダム管理の高度化を目指す3社の実証のイメージダム管理の高度化を目指す3社の実証のイメージ

 NTTドコモビジネスと国際航業、通信工事大手のミライト・ワンは、石川県管理の小屋ダム(同県珠洲市)で、衛星通信やドローン(小型無人機)などを活用し、ダム堤体の変位や貯水池周辺設備のひび割れなどを遠隔から点検する手法の実証に取り組んだと発表した。地域のダム管理を高度化するデジタルトランスフォーメーション(DX)の先進事例として注目を集めそうだ。

 今回の実証は、NTTドコモグループが石川県と2024年11月に結んだ「災害からの復興・地域活性のための包括的連携協定」に基づく「能登HAPSパートナープログラム」の一環。人工衛星やドローンなどを活用して地上以外から広範囲にネットワークを提供する技術「NTN(非地上系ネットワーク)」を用いたソリューションの開発を目指した取り組みだ。

 能登半島地震では、通信基地局が被災した影響で通信が途絶したほか、ダムなどの重要インフラの被災状況を迅速に把握することの困難さが喫緊の課題として顕在化した。こうした課題に対応するため、3社が連携した。

 NTTドコモビジネスは、低軌道衛星を用いた衛星ブロードバンドインターネットサービス「Starlink Business」や米ドローンメーカー の自律飛行ドローン「Skydio 2+」を提供。国際航業は、GNSS(衛星測位システム)で構造物の位置を高精度に測定するサービスなどを用意。ミライト・ワンは「自営無線Wi-Fi HaLow」を構築したほか、人物を検知するAI(人工知能)カメラを提供する役割を担った。

 具体的には、最高約1~2㎜の変位を24時間365日遠隔で監視てきるGNSS活用の計測解析技術に、NTNの災害時にも途切れない通信環境を組み合わせ、アクセスが難しいダム施設の点検や維持管理の高度化と省人化に役立つ手法の有効性を確かめた。

 総務省は、30年ごろを見据えてデジタルインフラの整備方針や具体的な推進方策を示す「デジタルインフラ整備計画2030」を策定。通信インフラの強靭(きょうじん)化や空飛ぶ通信基地局(HAPS)の早期国内導入を目指す方針を明記した。実証で得られた知見はこうした展開に資する成果で、3社は今後もインフラの維持管理を後押していく。