2025.12.12 日立、AIでスーパー店舗の残業時間を約1割削減 働き方改革を後押し

働き方改革を進めるハローデイの店舗

 日立製作所や日立ソリューションズ西日本は、福岡県を中心に熊本県・山口県で食品スーパーを展開するハローデイの全49店舗に、AI(人工知能)を活用した需要予測型の自動発注システムを導入したと発表した。これにより同社は、従業員の総労働時間を前年比で6837時間削減し、残業時間も7.9%減少させるなど、業務効率化を大幅に進めた。

 ハローデイが導入したのは、日立のデジタルサービス「HMAX Industry」のラインアップの一つ「Hitachi Digital Solution for Retail/需要予測型自動発注システム」。同システムは、デイリー商品や加工食品、冷凍食品など、1店舗平均約7000アイテムを対象に、店舗ごとの売り場スペースや商品の配置に応じて発注ロジックを調整できる柔軟性を備える。さらに、取引先ごとの注文ロットや納品条件にも対応し、自動発注率は90%以上を達成した。

 この結果、属人的になりがちな発注業務を標準化し、人員不足への対応力を強化。労働時間に対する粗利比率を指す人時生産性は8.4%向上し、欠品率も6.99%減少した。現場からは「過剰発注が減り、心理的負担が軽減された」との声も上がっている。

 日立はシステム設計や運用検証、全体マネジメントを担い、日立ソリューションズ西日本が現地導入をサポートした。ハローデイは今後もAI活用による業務改善を進め、さらなる顧客満足度の向上を目指す。

 少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少を背景に、国内の小売業界で労働力の不足が深刻化している。ハローデイでも、店舗人員の不足や店舗の生産性向上などの課題を抱えていた。 そこで同社は、多様な業種や商品に適用してきた日立の需要予測型自動発注システムの導入を検討し、24年1月に5店舗でパイロット導入を実施。実店舗での検証などを経て、6月に全店への導入を完了し、運用を始めた。