2025.12.12 ソフトバンク、法人向けAIエージェント基盤を提供 業務効率化を支援

 ソフトバンクは11日、企業の業務効率化を支援する法人向けAI(人工知能)エージェントのプラットフォーム(基盤)サービス「AGENTIC STAR(エージェンティック・スター)」の提供を始めた。担当者と連携しながら目的の業務を自律的にこなすAIエージェントを、ブラウザーで利用可能な「SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)」型などのサービス提供モデルで提供。関連ビジネスを含めて2030年に売上高500億円の達成を目指す。

 今回のAGENTIC STARは、SaaS型以外にも、用途やシステム環境に応じて選べる複数のサービス提供モデルを用意。26年3月には、外部接続モデルや開発基盤提供モデルを提供する予定だ。

 具体的には、ユーザーの指示や背景にある意図を解釈し、達成すべき業務ゴールを自動設定。必要なタスクを自律的に進めるほか、パスワード入力や最終確認など人の対応が必要な場面では、担当者に依頼しながら処理を進めることができる。例えば、業界動向の収集・要約・分析からプレゼン資料や提案シナリオの作成まで、一連の業務を支援する。

 さらに多岐にわたるタスクを実行できるよう、AIエージェントが使えるツールを80種類以上用意。ウェブ検索や文書作成など、多様な成果物を一つのプラットフォームで生成可能だ。用途に応じてツールを自律的に使い分けることで、生産性の向上を実現する。セキュリティー面では、チャット単位で独立した仮想環境を設計し、他システムへの影響や不正アクセスを防止する。

 また、過去のやり取りや社内資料などを、企業ごとの長期記憶として安全に蓄積し、AIエージェントが参照できるようにした。既存システムとの安全な連携を実現する公開仕様「MCP(Model Context Protocol)」に対応したことも特徴で、社内システムや複数のAIエージェントと容易に統合できる。

 同社法人統括AX事業本部の上原郁磨本部長は、AIの処理に人間が介入し信頼性を高める「ヒューマン・イン・ザ・ループ(HITL)」に触れ、「(HITLが求められる)複雑なタスクが遂行できる」と優位性を強調。今後、機能の強化と連携範囲の拡充に取り組むことにも意欲を示した。ソフトバンクグループが米オープンAIと開発する企業向けAIサービス「クリスタル・インテリジェンス」との連携も視野に入れているという。