2025.12.20 NTT、自動運転専業の「NTTモビリティ」始動 山下社長「移動の自由を未来に残す」
NTTは、自動運転技術を軸に地域交通の社会実装を進める専業会社「NTTモビリティ」を設立し、17日に東京都内で記者発表会を開いた。人口減少や高齢化の進展により、バスやタクシーなど地域交通の維持が困難になる中、NTTグループが各地で積み重ねてきた自動運転の実証成果を集約し、全国展開可能なサービス展開を目指す。
新会社は2025年12月15日付で発足した。資本金は14.3億円で、NTTが100%出資する。代表取締役社長には山下航太氏が就任した。山下社長は会見で「人が移動でつながり続ける毎日を実現したい。移動は人々の豊かな暮らしを支える基盤だが、担い手不足が進み、移動の自由が失われかねない」と述べ、自動運転によって地域交通を支える意義を強調した。
設立の狙いは、これまでNTT東日本、NTT西日本、NTTドコモ、NTTドコモビジネスなどグループ各社が個別に進めてきた自動運転の実証や構築を統合し、共通のパターンとして整理する点だ。山下社長は「実証を個別最適のまま積み重ねるだけでは、コストが下がらず展開も進まない」と指摘し、共通化によるコスト適正化と他地域への展開スピード向上を狙う考えを示した。社会実装が本格的に求められる時期に、NTTとして貢献できる体制を整えるため、専業会社の設立に踏み切った。
事業内容は、自動運転車両や自動運転システム(ADK)そのものの自社開発はせず、外部ベンダーとの連携を前提に、自治体や交通事業者、民間企業に対してモビリティーサービスを提供する。複数のADKベンダーと連携し、小型車両から大型バスまで、それぞれの強みを生かした導入を進める。今後も連携先の拡大を視野に入れる。
サービスの中核となるのが、導入から運行までを一体で支えるワンストップ支援である。車両や自動運転システムの調達・組み立て、ルート設計やデジタルマップ作成、運用人員向けのトレーニングに加え、車両内外の状況を遠隔で監視するモニタリングサービスを提供する。異なる車両やADKを用いながらも、オペレーションや監視といった共通化可能な部分を標準化することで、効率化とコスト削減を図る。
トラックなど商用車分野の自動運転ニーズを認識しつつも、まずはバスやタクシーといった旅客輸送を優先する戦略を明確にした。山下社長は「NTTとして積み重ねてきた知見は人流領域にある」と述べ、強みを生かせる分野から社会実装を進める考えを示した。トヨタ自動車との連携については、通信インフラ高度化を目的とした別軸の取り組みであり、NTTモビリティのサービスとは直接関係しないと説明した。








