2026.01.01 【家電総合特集】三菱電機 「セレンディ」活用で新たな価値を創造、アプライド事業を成長ドライバーに  安東正史上席執行役員リビング・デジタルメディア事業本部長

安東上席執行役員リビング・デジタルメディア事業本部長

 昨年の家電市場は、物価高騰などもあって耐久消費財の購入意欲は停滞気味だったが、夏場の猛暑が追い風となり、省エネ性能の高いルームエアコンなどの販売が好調だった。フルモデルチェンジしたIHクッキングヒーターなど新製品を中心に手応えを感じている。

 空調や家電では、ライフサイクルソリューション事業の拡大を目指している。そのためにも、デジタル基盤「Se­rendie(セレンディ)」を活用していく。

 例えば、注力するアプライド事業では、故障検知などに加え、エネルギーシステム事業本部との連携によるエネルギー需要の予測に基づく空調の最適制御などで、さまざまな価値を提供できる。エアコンや冷蔵庫などで膨大なアカウントを保持していることも、セレンディを活用すれば、新たな価値につなげられると考えている。

 昨今では、サイバー攻撃の増加などでOT(制御・運用技術)セキュリティー対策の重要性が増している。そうした中、当社は昨年、米国Nozomi Networksを完全子会社化した。セレンディとの組み合わせで、大型空調冷熱事業を中心に取り組みを加速したい。

 空調冷熱事業は、欧州、米国、インドを重点市場に位置付け、海外展開を強化している。欧州ではトルコ工場第2サイトが2026年1月から室内機の生産を開始する予定だ。米国では27年10月の量産開始に向けて圧縮機工場を準備中で、インドではエアコンと圧縮機の工場が昨年立ち上がった。

 アプライド事業は、データセンター向け冷却システムの需要が世界で拡大していることから、大型産業用空冷機器を開発・製造・販売しているイタリアの三菱電機ハイドロニクス&アイティークーリングシステムズを中心に、各エリアで体制を整備していく。

 今年は、物価高騰の継続や関税政策の変化、地政学的リスクなどで先行きの不透明感が漂っている。そうした中、グローバルソリューションプロバイダー企業への変革を目指し、データセンター需要の獲得を狙ったアプライド事業を成長ドライバーに位置付けている。セレンディの活用や地産地消の推進、他社との協業など幅広い視点で将来を見据え、事業の在り方を変革していく一年にしたい。