2026.03.04 ノベルクリスタル、次世代パワー半導体用に6インチ酸化ガリウム基板、量産技術の開発容易に

6インチの酸化ガリウム基板6インチの酸化ガリウム基板

 電子部品メーカー、タムラ製作所発の半導体材料スタートアップであるノベルクリスタルテクノロジー(埼玉県狭山市)は次世代パワー半導体向けに直径150mm(6インチ)の酸化ガリウム(β-Ga2O3)基板をサンプル出荷開始した。量産に向けた技術開発が容易になり、将来は鉄道や産業機器、電力系統の高効率化と装置の小型化に貢献したい考え。

 パワー半導体の基板材料として注目を浴びる炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)は内部の電子が存在できない範囲、バンドギャップ(禁制帯)が幅広く、主流であるシリコン(Si、ケイ素)より高耐圧化、低損失化、小型化に向くが、酸化ガリウムはこの点でさらに優れた性能を持つ。

 ノベルクリスタルテクノロジーは低コストな融液成長法による高品質、大口径の酸化ガリウム基板の製造に強みを持つ。従来は研究向けに直径100mm(4インチ)までの基板を販売してきたが、6インチ基板であれば他素材の基板を使う既存のパワー半導体の生産ラインとも適合する。

 同社は性能向上のため、酸化ガリウムの基板の表面にさらに酸化ガリウムの単結晶膜(エピタキシャル)層を成長させた「150mm β-Ga2O3エピウエハ」を2027年にサンプル出荷、29年に量産する目標を掲げる。6インチ基板のサンプル提供で外部の企業、大学、研究機関に対し、これまで進んでいなかった同サイズの成膜技術開発や、デバイス構造の最適化を後押しする。

 今回の6インチ基板は4インチ基板で実績ある結晶育成技術EFG法で製造するが、29年からの150mm β-Ga2O3エピウエハ量産ではコストの高い貴金属製るつぼを使わない結晶育成技術DG法を導入。SiCより価格面で優れたウエハーを実現し、35年に200mm(8インチ)基板を供給開始する計画。

 関連する研究成果は、26年3月15~18日に東京科学大学大岡山キャンパス(東京都目黒区)で開催する「第73回 応用物理学会 春季学術講演会」で発表する。