2026.06.29 【複合機ソリューション特集】商業印刷、デジタル化加速AIで全工程の自動化進む環境価値の訴求も強化

富士フイルムBIは、インドに商業印刷の検証・人材育成拠点を開設した

 商業印刷市場でも、アナログからデジタルへのシフトが本格化している。デジタル印刷は現在、商業印刷市場の1割超の市場規模だが、今後も着実な成長が見込まれている。商業印刷分野でも、AI(人工知能)技術の導入が進んでいる。

AIで工程全体を自動化
 富士フイルムビジネスイノベーション(富士フイルムBI)は、業界で初めてAIを本格採用したフラグシップモデル「Revoria Press PC2120」を投入した。グラフィックコミュニケーション事業本部の上野卓デジタルプリンティング事業部部長は「国内の商業印刷市場は、全体としては縮小傾向にあるが、その中でデジタル印刷は成長を続けている。印刷業界は、人手不足、原材料高などを背景に、印刷コストの半分を占める用紙の値上がりなどの課題も抱えている。その克服には、AIを活用したオートメーション化、ワークフローの最適化が求められている」と話す。

 また、同事業部の橋本渉デジタルプリンティング第五統括部部長は「印刷工程の一部だけでなく、前工程から後工程までの全工程をデジタル化・自動化することが重要だ。誰一人取り残さないAIのコンセプトの下、工程全体の自動化と生産性向上を目指している」と強調する。AIによる工程管理の自動化、Webサービス分析などのマーケティング支援にも注力する。

 同社は、グローバル戦略も強化している。先ごろ急成長するインドの商業印刷市場に対応し、高付加価値印刷の検証・人材育成を担う新拠点を開設した。

各社、価値訴求を強化
 リコーは、多様化するニーズや印刷会社の課題に対し、デジタル印刷の価値を訴求している。同社は、ミドルレンジカットシート機やハイエンドカットシート機で世界トップシェアを誇り、成長分野として商業印刷分野をグローバルに強化している。商業印刷の主力工場である厚木事業所を、最先端の事業開発拠点として一新する戦略プロジェクトも進めている。

 キヤノングループは、日本市場に向けて「キヤノン&キヤノンプロダクションプリンティング(旧オセ)の技術融合により、日本市場のニーズにより適合した製品の開発・投入を行っている」と、キヤノンマーケティングジャパンの吉田直矢プロダクションプリンティング企画本部課長は話す。また「オフセットからデジタル印刷への移行のメリットを、省人化、生産性向上、コスト削減、環境配慮の面から『見える化』して訴求している」と説明する。

 コニカミノルタなども、「創注・受注拡大支援」と「生産性向上支援」の2軸で商業印刷のDX(デジタルトランスフォーメーション)化を推進し、印刷業界のビジネス成長と収益力向上に注力している。
 セイコーエプソンは、完全子会社化したFieryとのシナジー効果を高めていく戦略だ。商業印刷分野でインクジェットイノベーションを推進している。

環境価値を見える化
 ビジネス機械・情報システム産業協会(JBMIA)は、デジタル印刷機による少部数印刷物の環境負荷低減効果を示す環境ラベル「Digital Printマーク」を創設し、5月から運用を始めた。適合機種に同ラベルを表示することで、印刷会社の顧客が自社の環境負荷低減への取り組みを効果的に発信できるようになった。