2026.07.08 NTTドコモビジネス、広域に分散したGPUを統合利用 実証環境でAI開発を支援

広域に分散配置するGPUの実証環境について説明するNTTドコモビジネスエバンジェリストの張暁晶氏=東京都千代田区

 NTTドコモビジネスは、複数の拠点に配置した画像処理半導体(GPU)を一つのプラットフォームのように利用できる実証環境の提供を始めた。低遅延・高速大容量通信を実現するNTTの次世代基盤「IOWN(アイオン)」のネットワークを活用した基盤で、分散したGPUの利用環境の有効性を顧客が試したい事例で検証できるようにする。

 今回の実証環境は、同基盤を構成する主要技術の一つ「IOWN APN(オールフォトニクス・ネットワーク)」を用いた「GPU over APN Testbed」だ。札幌、金沢、福岡、大阪、首都圏4カ所の計8拠点にGPUを配置。APNによる100ギガビット毎秒(Gbps)級の低遅延・大容量通信を生かし、全国に分散配置したGPUを一つのように連携させる。

 顧客はこうした環境を、人工知能(AI)を動かすために必要な処理や計算負荷を指す「AIワークロード」を検証する場として利用できる。想定する検証内容はAIの学習や推論から、拠点間の大容量データの転送までと多彩だ。

 GPUを複数の拠点に配置することで、電力の制約に縛られない持続可能なAI基盤を実現し、障害への耐性を高めてサービスの停止リスクを最小化する効果が見込まれる。国内拠点だけでGPUを分散配置することで、自国のデータを国内で管理する「データ主権」を守ることにもつながる。

 実証環境は例えば、大規模なAI開発に取り組む企業や研究機関の利用が想定される。複数拠点のGPUをAPNで接続し、AIの学習規模を拡張したいという利用者のニーズに応えることが可能だ。また、再生可能エネルギー由来の「グリーン電力」を生かし、環境負荷を抑えながらAI基盤を拡張したいと考える企業の利用も視野に入れている。再エネが豊富な地方のGPUを役立て、分散推論を行うという事例だ。

 同社は実証環境で得られた知見や成果を生かし、GPUサービスの展開を加速したい考えだ。顧客やパートナーと連携しながら事例の創出にも力を入れ、概念実証(PoC)から商用までを一貫支援したいとしている。

 AIの爆発的な普及や進化を背景にデータセンター(DC)の処理能力や電力供給が限界に達しつつある中、DCの分散化に注目が集まっている。そこで同社はAPNを活用し、分散配置したGPUを遅延なく利用する「GPUクラスター」の実証実験を進めてきた。東京都内で開いた説明会で、エバンジェリストの張暁晶氏は「インフラ制約と事業継続の両方の観点から、分散という新しいスタンダードに向かっている」と述べた。