2026.07.15 NEC、汎用カメラの撮影映像から不要な被写体除去する技術開発 世界初、高精細な3Dモデルを高速生成

汎用カメラの撮影映像から不要な被写体を自動除去した3Dモデルを生成

 NECは14日、汎用カメラで撮影した映像のみから、独自AI(人工知能)により不要な被写体を自動除去し、高精細な3Dモデルを高速生成する世界初の技術を開発したと発表した。現場の稼働を止めずに状況を精緻に再現でき、遠隔での設備点検や異常時の迅速な判断を支援する。

 インフラ事業者や建設現場では、人材不足や設備点検にかかる移動コストの増加から、遠隔での判断や指示を行う取り組みが拡大している。一方で、現場からの映像共有だけでは確認したいシーンや視点を特定しづらいなど、状況を的確に把握するうえでの課題があった。

 こうした背景を受け、同社は3Dモデルの表現方法として主流となっている「3Dガウシアン・スプラッティング(3DGS)」と独自AIを組み合わせ、高精細な3Dモデルの高速生成を実現した。

 現場のデータ取得には、スマートフォンなどに搭載された汎用カメラによる撮影映像を使用する。LiDARなどの専用機材が不要で、導入コストの抑制に貢献。3Dモデルはパソコンやタブレットから閲覧可能で、現場状況を即時に把握できる。

 データの表現には、3Dを広がりや色を持つ粒の集まりとして表現する3DGSを採用。複数視点から得られた画像から、3D空間に粒を配置し画像に合うよう色や位置を決定する。高精細で軽量な3Dモデルの生成が特徴だ。

 従来の3DGSは高速生成が難しく、稼働中の現場では不要物が映り込むため、そのままでは3Dモデルを構築するのが困難だった。今回、3DGS技術にNECの独自技術を統合し、高精細な3Dモデルを高速生成できる技術を実現。同技術は、慶応AIセンターとの共同研究による成果となる。

 3Dモデルの高速生成に向けては、対象の見た目の複雑さを算出し、複雑さの小さい領域は粒を間引き、精細さを保ちつつ計算コストの削減を実現した。見た目の複雑さに関わらず粒を密に配置する従来技術と比較し、約10分の1となる最短1分での高速生成が可能となった。

 現場の映像に映り込んだ作業員や一時的な物体などの不要な被写体の自動除去も実現した。削除箇所を異なる視点の映像から補完し、稼働中の現場を止めずに3Dモデルを構築する。

 同技術は、製造現場の設備保守点検や建設現場の施工管理への導入を想定し、2027年度中の実用化を目指す。NECサイバーフィジカルインテリジェンス研究所の馬場崎康敬主任研究員は「点検業務を効率化し、インフラ・設備点検の現場の人手不足解消に貢献する」と話した。