2026.09.21 【電子部品メーカー・商社/ASEAN拠点特集】ASEAN各国 法定最低賃金の上昇続く ベトナムなど26年も引き上げ
日系企業は生産性改善急ぐ
ASEANで法定最低賃金の上昇が続いている。経済成長や物価上昇、外資系企業の工場進出を背景に労働需要が高まり、2026年も多くの国が最低賃金を引き上げた。実際の初任給が法定額を上回る地域も増えており、進出企業は生産性改善や自動化・省力化を急ぐ。
ASEANの工場労働者に適用される法定最低賃金は、「チャイナプラスワン」を背景にASEANへの投資機運が高まった2010年ごろから上昇が加速した。10年代後半は上昇率がやや鈍化したものの、国によっては毎年1割近い引き上げが実施された。20~21年は新型コロナウイルス禍による経済への打撃を考慮し、大半の国が改定を見送ったが、22年以降は各国が再び引き上げを進めている。
グローバル製造業の「脱中国」志向が強まる中、中国系企業を含む外資系製造業によるASEANへの生産シフトが一段と加速している。域内の労働市場では人材獲得競争が続き、法定最低賃金と実際の初任給との差も広がっている。
「脱中国」の有力な受け皿とされるベトナムでは、26年1月に最低賃金を引き上げた。最も高い第1地域(ハノイ、ホーチミンなど)の月額は従来比7.3%増の531万ドンとなった。フィリピンでは同年7月に5年連続となる引き上げを実施し、マニラ首都圏の日給を同12.2%増の780ペソに改定した。インドネシアでは同年1月の改定で、ジャカルタ首都特別州の最低賃金が同6.17%増の572万6876ルピアに上昇した。
一方、タイとマレーシアでは、現時点で26年の法定最低賃金改定は発表されていない。
ASEAN主要国では、国によって法定最低賃金を隔年などで改定している。一方、進出する日系企業の現地法人では、初任給を毎年安定的に引き上げている。
最低賃金の定義は国ごとに異なり、実際の給与水準と法定額との差が大きい地域もあるため、単純には比較できない。それでもASEANの工場労働者の賃金水準は、シンガポールを除けば中国沿海部より割安となっている。ただ、世界の製造業によるASEANへの生産シフトを背景に、近年は最低賃金の上昇率が中国を上回る国も少なくない。
最低賃金の引き上げは、国民の消費力を高め、経済発展を支える。一方、急激な人件費上昇は企業の負担を増やす。このため、現地に進出する日系企業は、継続的な生産性改善や生産ラインの自動化・省力化を進め、収益性の向上を追求している。










