2026.10.01 NTTドコモビジネス、AI実装力で収益拡大 重点4領域を30年度に7000億円超へ

NTTドコモビジネスの2026年度事業戦略発表会で三つの成長戦略を強化する方針を表明した小島克重社長=東京都千代田区

 NTTドコモビジネスは、2030年度に人工知能(AI)をはじめとする重点4領域の収益を7000億円超に拡大する目標を打ち出した。同社の小島克重社長が東京都内で開いた26年度の事業戦略発表会で表明した。AIを産業や地域に実装する機運が高まる中、実装力を高める体制や戦略を強化し、一段の成長につなげる考えだ。

 同社はコンピューティングやネットワーク、セキュリティーなどを一体的に提供する「AI-Centric ICTプラットフォーム」を基盤に、重点4領域の収益拡大を目指してきた。

 AI以外に位置付けた重点領域は、「IoT(モノのインターネット)」「デジタルBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」「地域・中小DX(デジタルトランスフォーメーション)」。25年度はいずれの領域も伸長し、合計で3000億円超を達成した。その収益を2倍以上に拡大したい考えだ。法人事業の収益では、25年度の2兆円から30年度に2兆6000億円へ引き上げる目標を掲げており、その達成に向けたけん引役を4領域が担う。

 その目標達成に向けては、重点4領域の一段の強化に加えて、「プラットフォームのさらなる進化」と「パートナーリングのさらなる強化」を挙げた。

現場伴走型人材を増員

 小島社長は発表会で、「重点4領域のさらなる強化には、特にAIの実装力とセキュリティー対応が重要になる」と強調。その上で、顧客の現場に入り込みAI実装を一貫支援する人材「FDE(フォワード・デプロイド・エンジニア)」を増やす方針を示した。

 同社には、AI活用人材として全国に約1万4000人が在籍している。そのうち「業務特化型FDE」を、現在の500人から27年度には1000人超へと増員する計画。加えて、地域の中小企業などに密着しAI活用を支援する「FDEライト」によるサービスを5000人規模で推進していく。

 地域の中小企業に目を向けると、AIの導入ニーズがありながらも、社内の人材が限られ、社外からの支援を受けにくい状況にある。同社はそうした課題を踏まえ、地域企業に密着したAI活用の支援を強化していく。

 また、先端AI「フロンティアAI」の進化を背景に高度化・高速化するサイバー攻撃の脅威が増大する中、同社の強みにNTTデータの知見を組み合わせて対応力を強化する。小島社長は「自律的に脅威や脆弱性を発見して対策を提案する仕組みも提供し、AI時代のサイバーレジリエンスの対応を高めていきたい」と述べた。

「ソブリンAI」実現を支援

 AI実装力を支えるプラットフォームを巡っては、今夏に相次ぎ新たなサービスを具体化させている。AIを専門性の高い業務に広げる際に重要になるのが、自国や自社のデータや技術を基に運用・管理する「ソブリン(主権)AI」だ。そこで同社は、AIによる社会課題の解決を支援するエクサウィザーズと共同で、専用環境で企業の重要データを安全に活用できる「クローズドAIエージェント」を開発し、8月に提供を始めた。

 9月末には、高性能なGPUとAI開発環境を統合したクラウドサービス「GPUaaS」の提供を開始。1GPUから利用できるサービスで、小規模なPoC(概念実証)にも適用可能だ。AIを支える都市型データセンター(DC)やコンテナ型DCにGPUaaSを加えて、多様な用途や需要に対応できるコンピューティング環境を拡充したい考えだ。

 さらに小島社長は、パートナー企業との共創を目的に25年6月に発表した「パートナープログラム」にも触れ、「パートナーとともに顧客基盤を拡大させて、事業成長を加速していく」考えも示した。すでにパートナー数は約200社にまで拡大。パートナーを通じた収益率を現在の約20%から35年度には50%まで高めたい考えだ。