2026.10.14 【CEATEC 2026】福岡に拠点を置く3社、現場DXを提案 アドバンテック・FDシステム・Kobot 既存設備や設計資産を生かし「見える化」

 幕張メッセ(千葉市美浜区)で16日まで開催中の「CEATEC 2026」の「福岡県半導体・デジタル産業振興会議」ブースで、県内に拠点を置く3社が、工場やビルのデジタル化を支える技術を披露している。アドバンテックは直方事業所の開発・製造力を、FDシステムは既存設備に後付けするAI(人工知能)による管理支援を訴求。KobotはIoT技術で設備の稼働や異常を「見える化」する監視ツールを紹介した。既存の設備や設計資産、現場で培ったノウハウを生かし、導入・運用の負担を抑える提案を届ける。

国内の開発・製造力で受託拡大

 アドバンテックは、台湾の産業用PCメーカーの日本法人。福岡県直方市の直方(のおがた)事業所は、オムロングループの生産拠点として50年以上蓄積してきた技術を受け継ぐ。2018年のオムロン直方との資本業務提携を経て、国内の開発・製造を担う拠点となった。経営企画室コーポレートマーケティング部の大田康貴氏は「人は変わっていない。作っているものが変わった」と話す。

アドバンテックのブースで国内の開発・製造力をアピールする大田氏

 標準品の設計資産と国内で培った生産技術を組み合わせ、日本の顧客に多い専用仕様の需要に応える。開発・製造受託サービス(DMS)では、標準品を基に一部の仕様を変更するセミカスタムなどで、製品化までの期間を短縮する。直方事業所は、電子組立品の品質に関する国際規格「IPC-A-610 Class 3」の工場認証を国内で初めて取得した実績も持つ。

 ブースでは、手のひらサイズの基板とカメラを組み合わせた人物検知のデモを実施した。インテルのAI推論用ツール「OpenVINO」に対応し、モデルの変更で物体検知などにも使える。大田氏は「ものづくりができる会社だと知ってもらいたい」と意気込む。国内での開発から製造、導入後のサポートまで対応する体制をアピールし、産業機器メーカーとの取引拡大を目指す。

既存ビルの設備管理をAIで支援

 FDシステム(福岡市西区)は、60年以上にわたる電気工事・計装工事の経験を、設備管理プラットフォーム「BUILDING OS」の開発につなげた。中央監視システムの導入や保守の現場では「図面が残っていない」「設備と端子の対応関係が分からない」などの課題があった。

 BUILDING OSは既存の中央監視システムにエッジPCを追加し、警報履歴や図面、マニュアル、保守手順などを一元管理する。AIが異常の状況や原因候補、現場で確認すべき項目を示し、初動対応を支援する。

設備管理プラットフォーム「BUILDING OS」を紹介するFDシステムの猿渡専務取締役

 オプションの「IO Master」では、設備と制御盤、端子、入出力信号の対応関係を記録する。AIアシスタントに「空調機を1台増設したい。空き端子はあるか」と尋ね、該当する端子をチャット画面で確認する使い方を提案する。異常の履歴を基に、設備の点検・更新判断を支援する活用も想定している。

 BACnetやModbusなどの通信規格に対応し、現地の仕様や接続条件を確認して導入する。AIの役割は監視情報の整理と判断支援に限定。設備側とAI利用側のネットワークを分離し、既存の制御系への影響に配慮する。

 初期費用は数百万円、保守費は月数万円を想定し、中小規模の既存ビルの改修需要を狙う。猿渡洋平専務取締役は「導入時の調査には手間がかかるが、その後はすごく楽になる。お客さまのためにも、保守を担う我々のためにも広げていきたい」と語る。

センサーと映像で現場を見える化

 Kobot(コボット、北九州市戸畑区)は、食品工場向けにネギやすしを盛り付けるロボットなどを手掛け、自動化を支援してきた。今回は、Braveridge(ブレイブリッジ)のセンサーモジュールと自社開発の監視画面を組み合わせたIoT監視ツールを出展した。

 11種類のセンサーモジュールから、監視対象や用途に合わせて選ぶ。信号灯の点灯状態から設備の稼働・停止を把握するほか、加速度センサーでモーターやコンプレッサーの振動を測定し、保全に役立てる。ベルトコンベヤーを流れる物の数や、現場の温度・湿度も計測できる。

KobotのブースでIoT監視ツールを紹介する今坂CEO

 異常発生をメールで知らせ、ウェブカメラの映像で状況を確認する。データは現場の小型コンピューターで処理し、社内ネットワークなどのローカル環境で運用する構成を重視する。必要な箇所から導入できる点と、外部との通信に伴うリスクへの配慮を訴求する。

 今後は、蓄積したデータのAI解析による判断支援も検討する。解析はAIが補助し、最終判断は人が担う考えだ。食品工場以外への展開も進め、世界遺産・富岡製糸場での入場者カウンターとしての活用に向けた話も進んでいるという。今坂幸介CEOは「これまでデジタル化が進んでいなかった分野に届けたい」と話す。