2020.07.03 【ルームエアコン特集】家電量販店、店頭提案に力新型コロナが需要を底上げ、扇風機などとセット提案も
エアコン売り場の来店客が増えている(ヤマダ電機LABI1日本総本店池袋)
暑さが本格化し、家電量販店の客足も増えてきた。新型コロナウイルスの影響で首都圏を中心に臨時休業や時短営業が続いていたが、徐々に通常営業に戻りつつもある。
今年は新型コロナの影響で、夏も自宅で過ごす消費者が増える見込みだ。そのため、エアコンを使用する機会は多い上、テレワークの浸透によって夏でも自宅で業務を行う人も増えている。そうしたことがエアコン全体の需要を押し上げており、店頭でも提案に力が入っている。
ビックカメラは6月、全国の45店舗でエアコン販売が前年に比べて約1・5倍となった。5月後半から暑さが本格化し始めたことで、6月に入ってからの販売に弾みがついた格好だ。
新型コロナがエアコン需要を底上げする効果がある半面、エアコン販売にも大きな影響を与える夏のボーナス支給に関し、支給しない、もしくは減額といった対応をする企業もある。
そのため、夏商戦本番についても「暑さで販売に期待ができる一方、予測しにくい面もある」(ビックカメラ)との見方を示す。特別定額給付金が販売を押し上げる効果も予測しにくい。
量販店各社は、需要期に即日の設置工事が難しいことから、エアコンの早期販売に今年も力を入れてきた。2台同時購入での割引や特典を付けるなどで早期購入の魅力を高めている。
同時に、エアコンとの併用で快適性を高めたり、効率的な空調で省エネ性を高める、といった効果が期待できる扇風機やサーキュレータとのセット提案にも注力。エアコン売り場に扇風機売り場を隣接させ、エアコンとの併用を促している。
東京・池袋のヤマダ電機LABI1日本総本店池袋では、3階のエアコン売り場が活気づいてきた。暑さが本格化する前から、売り場では冷房の試運転を促すPOPを掲示し、来店客にエアコンを意識させる活動に取り組んできた。
隣接する扇風機売り場では、扇風機の選び方を指南する天井つり下げPOPにエアコンとの併用も提案。エアコンは2台目の同時購入で2万円引き、3台目で半額といった施策を打ち、設置工事がひっ迫しきっていない今のうちの購入をアピールしている。
今夏は新型コロナの影響で、夏商戦が例年と異なる可能性もあるが、「暑くなれば売れる」のがエアコン。猛暑が予想される今年も十分期待できるだろう。
ただ、全国的にエアコンが売れるようになってきたことから、6月下旬頃から工事能力がひっ迫し始めているようだ。工事業者の絶対数は昨年とそう変わらないため、ピーク時には設置まで1カ月待ちなどの事態は今年も起こり得る。
ネット通販も増加
エアコンは店頭購入が中心だが、ネット通販での販売も増えている。それに伴い、そちらに工事業者が割かれるケースも増加。量販店各社は需要のピークに備えた工事力を確保しているが、それでも工事待ちは避けられない。工事待ちを嫌がって購入を断念する来店客も少なくないことから、売り場が一層混雑してくるこれからの対応力が商機を逃さない肝になってくる。