2020.07.09 【家電流通総合特集】 地域店の新型コロナ対策個展での工夫

個展の当日は3密対策を徹底

 電子堂(東京都大田区)は、安心・安全を第一に考えた個展スタイルがお客に認められ、売上げにもつながっている。

 同店では緊急事態宣言が解除されてからも、解除前と変わらず時短営業を継続。定休日も増やした。来店客も1度に2人までに制限し、ビニールシートでお客と従業員を隔てる徹底ぶりだ。

 社長夫人の秋元満理さんは「お客さまから『まだこんなに対策しているの?』と言われることもあるが、今年いっぱいは続けると思う」と話す。

 同店はキャッシュレス5%還元に合わせ、例年より早い6月に個展を開催した。例年同様、招待状500部を配布したが、商品の安さをアピールするのではなく、コロナ禍の営業スタイルを伝える内容に特化させた。

開催に迷いもエアコなど好調

 販売を担当する娘の秋元絵理さんは「個展の開催に迷いや不安もあったが、期間中の来店予約の電話をたくさんいただき、エアコンを中心に予想以上の売上げとなった」と胸をなでおろした。

 個展の成果もあり、6月は前年を超える売上げを収めた。絵理さんは「これまでと同じことをやっていてはいけない。難しいこともあるが、互いの命を守るため、できることを続けていく」と前を見据えている。

 京王電業社(東京都渋谷区)は例年通りに個展を開き、前年同様の売上げを記録した。

京王電業社のDM。リフォームなどもアピール

 6月19、20日の2日間に個展を開催。1200部の招待状をポスティングと郵送によって事前に配布した。招待状には、イベント特別企画の案内に加えて、外壁やキッチンなど様々なリフォームに関する案内チラシも同封した。

 新型コロナの影響もあり、来店客数は前年の約100世帯から60世帯ほどに落ち込んだが、売上げは約900万円と前年同様となった。福田順亮専務は「外壁、キッチン、バス関連のリフォームが売上げに貢献した」と説明。エアコン、冷蔵庫、洗濯機の大型家電やテレビなどのAV機器も個展の売上げに大きく寄与したが、リフォームの売上げが最も多かった。「在宅時間が増えてリフォームへの関心が高まったことと、10万円の給付金が後押しになったのではないか」(福田専務)という。

 オーツカ電機サービス(金沢市)は、新型コロナウイルス感染拡大防止のために中止となった夏合展に代えて、自店でなじみ客にDM100枚を配布して個展を開催した。困難な状況下でも熱心なPR活動を継続し、7-8月の夏商戦本番で巻き返しを図る。

 「6月の個展は期待の来客数に届かなかったが、販促活動の手は緩めず続けてきた。現在はテレビやエアコンなどで動きが戻りつつある」と大塚博史会長は語る。

 売れ筋は、4Kテレビではソニー・BRAVIAの最新モデル4K液晶テレビ「X8500Hシリーズ」の43V型。エアコンはミドルクラスのモデルが人気だ。大塚会長は「金沢市内では、10万円給付金支給後の目立った動きはまだ見られないが、7月からスタートした夏物関連の夏得セールでお得感を訴求し、取り込んでいきたい」と意欲を見せる。

 コロナ対策と倉庫改装のお披露目を兼ねて個展を開催したのは沖電機(広島県福山市)だ。沖和真社長は「改装した倉庫は店舗より広いので〝密〟にならず、普段扱っていない商品にもチャレンジした」という。今回初めて扱ったのはドローンや宅配BOXなど。販売には結び付かなかったものの「来場者に喜んでいただけた」(沖社長)。特別定額給付金も来店客の間で話題になり、売上げに貢献したもよう。

 住まいるでんき館カナタニ(大阪府池田市、金谷和昭社長)は6月中旬の3日間、店内で個展を開催。商品実演を兼ねながらジアイーノを店内で稼働させたほか、マスクの着用など感染防止策を徹底した。

 新型コロナの影響で毎年参加していた合展が中止となり、代替として個展を計画。800枚の招待状を配布した。3月のイベントでは、顧客訪問時にはポスティングのみだったが、今回は通常通りに顔を合わせて招待状を手渡したという。

 当日は3密対策を徹底。手の消毒、スタッフのマスク着用をはじめ、ジアイーノの実演も兼ねて稼働した。ソーシャルディスタンスの確保も意識しつつ、商品の体感や提案を行った。

 緊急事態宣言が全国的に解除されてから2カ月が過ぎようとしているが、新型コロナウイルスの感染拡大は、東京都など首都圏で増加傾向に転じている。地域店は個展や商品、販促などに工夫を凝らす。個展では3密対策や飛沫感染の防止策を徹底。エアコンのほか、宅配ボックスなど、快適に過ごすための提案を強化する。販促も顧客を第一に考えた企画を立てている。今後も感染拡大防止策を継続しながらの営業が続くが、各店では安全対策を講じた上で運営し、顧客との信頼関係を深めたい考えだ。