2020.07.09 【家電流通総合特集】全国の電機商組の新型コロナ対策

愛知商組は執行部会をオンライン化

九州地区はスカイプを活用。会議に参加する堤信宏理事長(手前)と山浦徳雄副理事長(奥)九州地区はスカイプを活用。会議に参加する堤信宏理事長(手前)と山浦徳雄副理事長(奥)

 全国の電機(器)商業組合では新型コロナウイルスの感染拡大防止対策として、Webを活用した会合を開催しているほか、「3密」を避ける形の会合を行っている。Webでの会合ではWeb会議システムを活用し、役員や執行部の会合を行うだけでなく、地区協議会などの場で活用しており、今後は青年部会や理事会などでの開催を目指す。一方、リアルの会合では、窓を開ける、広い場所を確保するなど、3密対策を徹底。Webとリアルをうまく活用しながら、組合運営に当たっている。

Web会議システム活用で3密を回避

 愛知県電機商業組合(伊藤茂理事長)は、新型コロナウイルス対策として、従来行っていた執行部会や理事会をオンライン会議に移行し、経費節減や効率的な事業活動につなげている。

 愛知商組は、5月22日開催の青年部総会を初めてオンライン会議で開催し、会員16人が各店で参加した。従来、約50人を数える理事・支部長合同会議を年3回開催してきたが、今後はオンライン会議と会場での参加者を少なくした開催に移行していく計画。

 そのテストケースとして、1日に執行部会をオンライン会議で実施し、16日にも同様の会議を行う予定。オンライン執行部会は、伊藤理事長と白石克彦事務局長が小牧市のイトデン、ほかの3人の副理事長が自店で、それぞれPCによるリモート会議に参加した。1日は操作体験を行う試行会議とし、16日に議事内容を議論する場とする。

 8月20日に開催する理事・支部長合同会議は、初めてオンライン会議を導入し、会場のウインクあいちと結んで議事を進める。

 全国電商連九州地区協議会(本田敬喜会長)の6月に開催した通常総会では3密を避けるため、スカイプを活用した。福岡県電機商工組合の、堤信宏理事長は「途中で誤動作もあり、まだ使いこなせていない。Web飲み会などで日頃からネットを活用して、徐々に慣れていきたい」と話した。

 全国電商連近畿地区協議会(牧野伸彦会長)では、6月の役員会でWeb会議システムを活用した会合を実施した。3密を避けるため、大阪、兵庫、京都、奈良、和歌山、滋賀の近畿2府4県の各理事長がネットワークを通じて話し合った。

 この活動を受けて大阪府電機商業組合(吉田稔理事長)では、約10人在籍する執行部の会合をWeb会議システムで進める。現在は約7割の導入率。今後は、理事らにもシステムの導入を推進し、将来的には多く人が集まる会合もWebで行う方針だ。

 千葉県電機商業組合(岩渕泰博理事長)は、総代会で重大項目に挙げられたオンライン会議の実施に向け歩みだした。地域が広く、移動に時間と交通費がかかる千葉県では、効率化を図るためにもオンライン会議への期待が大きい。

 定期的に行われる「組合幹部」「組合全体」「対外的」の3種類の会議のオンライン化に向け、6月末、青年部による勉強会が開催された。オンラインになることで、司会者が明確になり、参加者が平等に発言しやすくなることも考えられる。岩渕理事長は「対面では言いにくいことも発言しやすくなって、発言の機会が増えることで、積極的な意見が増えていくことに期待している」と話している。

 やり慣れた方法を変えることは容易ではない。今月末に予定されるブロック長会議で、青年部がオンライン会議について提案をするという。岩渕理事長は「コロナ禍で、『いずれやったほうがいいこと』が、『今やらなければならないこと』になった。前向きに捉えたい」と組合員と力を合わせて取り組んでいく構えだ。

書面決議などで感染防止 講習会は未定も

 福岡県電機商工組合(堤信宏理事長)は、IT講習会などの勉強会に力を入れる。堤理事長は「感染症の流行でWeb会議やオンライン授業など、世間でITの活用が急速に広まった」と話す。

 家電製品のIoT化が進んでいることも踏まえ、組合員の知識と経験が顧客への訴求において、より重要になるとしている。

 鹿児島県電機商業組合(山元和久理事長)は、組合員向けに年金や生涯所得に関する講習会の開催を検討している。将来必要な収入などの知識を身に付け、組合員が安心できるよう、ファイナンシャルプランナを講師に勉強会を開く方針だ。

 開催理由について、山元理事長は「新型コロナウイルス感染症や組合員の高齢化で、経営面など将来に不安を抱える店主らが増えている」と話した。

 4月以降は感染防止のため、総会や理事会などをほとんど書面だけで実施した。久しぶりに組合員が直接顔を合わせる機会としても講習会に力を入れたい考えだ。

間隔を空けて席を設けた(兵庫商組の講習会)

 兵庫県電機商業組合(武田善信理事長)は6月下旬、神戸市の家電会館でスマートライフコンシェルジュ(SLC)ゴールドコース認定講習会などを開催した。緊急事態宣言後初の講習会で、窓を開けて行うなど3密対策を徹底。2日間で18人が参加した。

 香川県電機商業組合(塩谷孝理事長)は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、今年度の総会を書面総会とした。ほか、理事会、執行役員会議を年3、4回開催しているが、今年度になってからは一度も開催できていないという。

 理事会は、キャンペーン前などに開催し、理事にキャンペーン概要を周知徹底。執行役員会議は「こういうことをやろう」など、商組の方向性を決めている。「ファクスで案内は行っているが、皆に十分な情報提供はできていない。今は開催できないが、やはり大事な会議」と事務局。今のところ今年度初の理事会を9月3日に予定している。

 同商組は昨年末にホームページを開設。コロナ禍でホームページがより活用されている。ファクスとホームページを併用して情報提供をしている。

宮城商組の書面決議書

 宮城県電機商業組合(太田好美理事長)では、新型コロナウイルス感染防止のため、今年度の総代会を書面総代会として開催、今年度の事業計画などが書面決議で承認された。その後、広めの会場を確保して役員が集まり理事会を開催。また、青年部の集まりについては開催できない状況になっている。

 毎回事務所で開催している理事会開催に合わせ、広い会議室を確保して開催した。20年度の事業推進や同組合の創立60周年記念式典、長期保証制度、あっせん商品などについて意見交換などを行った。あっせん商品の説明や技術講習会なども実施した。

 同組合では今年度、技術講習会や商品研修会なども計画しているものの、新型コロナの状況を見ながら、開催について判断する。全国電商連の高齢者宅無料訪問点検活動についても、自治体などと相談しながら判断。「今後の活動などの予定については、全て未定」という。