2020.07.10 チノー、記録計のラインアップ拡充グラフィックレコーダの機能向上、アナログ利用者もフォロー
チャート紙をPDFファイルとして作成するKR3D00
チノーは、記録計のラインアップをさらに広げている。主流となりつつあるペーパーレスなグラフィックレコーダの機能拡充だけでなく、根強い需要のあるチャート紙のアナログタイプを使用する顧客に対するフォローも続ける。
PDFチャートグラフィックレコーダ「KR3D00」シリーズは、カラー液晶ディスプレイ搭載の記録計。チャート紙をPDFファイルとして作成し、チャート紙と同サイズの100ミリメートル、180ミリメートル、250ミリメートル幅で出力できる。
PDFの場合、編集ソフトウエアを使うと波形や数値を変えられる恐れがある。KRシリーズは、パスワード保護機能で改ざんを防止する。
外形寸法288ミリメートル角のKR3D00に対して、144ミリメートル角と小型化した「KR2D00」を新たに発売。記録計を設置する場合、調節計や操作端末などと同じ計装盤に取り付ける場合が多く、「省スペース化」を求めるユーザーの声に応えた。
KRシリーズでは、国際規格IATF16949の運用をサポートする自動車部品熱処理支援機能付きの特殊仕様も用意。温度センサーの規定使用時間や、温度サイクル回数を設定して判定基準のパラメータにし、累積使用時間や使用規定回数の自動計測によりセンサーの劣化判断を行う。交換時期が近づくとメールなどで自動通知する。また、標準センサーとの比較校正をし、データを成績書として発行できる機能も装備。差分を機器に読み込み、実際の記録データを真値に近い値に補正する。
グラフィックレコーダ「KR2S00」「KR3S00」シリーズは、タッチパネルを採用したネットワーク対応のペーパーレス記録計。タッチ操作で記録データの再生画面をスクロールさせたり、タッチペンで文字の書き込みができる。
今回、バーコードリーダーをつなげて記録計の画面に文字やロット番号を書き込めるマーカーテキスト機能や熱処理のプロファイルを標準的なプロファイルと比較しながら記録できる工程判別機能を新オプションに追加。通信インターフェイスで31台まで調節計を接続可能で、KR1台でバーコードを利用した調節計のレシピ管理もできる。PLCを用いた制御よりコストを抑えられるメリットがある。
一方、「SC5000」シリーズは記録計やPLCを通信接続し、PCやタブレットなどで遠隔監視・操作ができるWebレコーダ。測定データを集録し、Webブラウザで表示。アナログ記録計を使用しているユーザーに、通信オプション付加による現場の「見える化」実現を提案する。
記録紙やインクリボン、ペンなどを交換する手間もあり、アナログ記録計からグラフィックレコーダへの切り替え需要が生じている。一方、チャート紙で記録を残したいというニーズも根強い。
チノーでは、グラフィックレコーダの機能を拡充しながら、記録紙とのハイブリッド型も含め、アナログ記録計への要望にも応えていく。