2020.07.17 【半導体/エレクトロニクス商社特集】エイブリックミネベアミツミとの統合、最大限に生かす

石合 社長

 エイブリックは、アナログ半導体専業メーカーとして、民生機器やモバイル機器、自動車など幅広い産業の技術革新に貢献している。新型コロナウイルスの影響など先行きには不透明感もあるものの、ミネベアミツミとの統合効果を最大限に生かし、前年度を上回る収益確保を目指す。

 今年4月30日に親会社からミネベアミツミへの株式譲渡が完了し、グループの一員として新たなスタートを切った。新型コロナウイルスが猛威を振るっていた4-5月は、自動車やスマートフォン向けがマイナスの影響を受けたものの、在宅勤務の増加でPCやタブレット向けが拡大。医療機器向けの需要が増えるなど、明るい兆しも見え始めた。

 石合信正代表取締役社長兼CEOは「新型コロナ禍での厳しい船出となったが、大変な時こそ市場回復への備えが重要。これまで取り組んできた業務効率化(ムダどり)を徹底して行い、収益の下支えと体質改善に取り組んでいる」と話す。

 ミネベアミツミとの統合を契機に、新たな成長戦略にも取り組み始めた。車載向け電源ICと磁気センサーを新たな柱に育てるとともに、医療分野での売上げ拡大と新分野への展開を加速させる。

 両社の持つアナログ半導体の注力開発分野として①リチウムイオン電池保護②車載電源③垂直統合④MEMSセンサー・カスタム⑤IGBT⑥医療・高圧⑦磁気センサー⑧クリーンブースト--の8分野に照準を合わせ取り組んでいく。

 販売面では、グローバルに展開するミネベアミツミの販売チャネルを活用。注力する車載向けではグループ企業でTier1のユーシンとも連携を深め、総合(相合)力を生かしビジネス拡大を図る。

 石合社長は「ミネベアミツミとの統合は、世界を狙える絶好のチャンスと捉えている。アナログ半導体は日本の強さが発揮できる。ミネベアミツミの技術とエイブリックのスモール・スマート・シンプルな技術を融合させ、ニッチな市場でトップを狙いたい。統合効果を最大限に発揮し、半導体事業全体で年間売上高1千億円を目指す」と意気込む。