2020.07.17 【半導体/エレクトロニクス商社特集】丸文国内外ネットワーク活用、独自商材発掘へ

飯野 社長

 丸文はデバイス、システムの両事業を核に通信、車載、医療、産業機器を重点分野として、独自の尖った商材の発掘によるソリューション事業を強化している。

 飯野亨社長は「売上げの規模を追うのではなく、当社の国内外の幅広いネットワークを活用して独自の商材を発掘し、技術やアプリケーションを付加して価値を提供するエレクトロニクス商社として事業を伸ばしたい」と方向を示す。

 前年度業績は、米中貿易摩擦の影響を受けて厳しい結果に終わった。飯野社長は「新型コロナウイルスの感染拡大の懸念が続くが、足元では情報通信向けデバイスが堅調。中国の生産活動が戻ってきたことでFA・産業機器向けも動きが出ている」と市況を語る。

 デバイス事業ではTI商権が終了するが、ブロードコム社や新規仕入れ先のデバイスが伸長する見込みで、商材の拡充が進んでいる。昨年から取り扱いを始めたゴーウィン社のFPGAは、大手電機メーカーの採用など実績が上がってきた。

 無線給電技術のIPベンダーである米国オシア社と戦略的パートナーシップ契約を結び、無線技術を用いて同時に複数デバイスへ安全に電力供給できる空間伝送型ワイヤレス給電技術「Cota」のライセンス提供サービスを開始した。

 IoT分野では、ローカル5G向け回線品質解析装置などの先端通信機器をはじめ、LoRaやzetaなどのLPWA規格に準拠したデバイスや通信モジュールを多数用意し、速応性に優れたイベントドリブン型IoTプラットフォームVANTIQなど、エッジからクラウドまでトータルでソリューションを提案している。

 また、米国アイオロス社のAI搭載汎用ロボットプラットフォームは、高齢者介護施設、ホテル、レストランで人を支援するサービスを提供し、引き合いも順調に増えている。

 産業機器分野では、プラスマイナス0.5マイクロメートルという世界最高精度の仏国エスイーティー社のフリップチップボンダーに注力し、高密度、高精度が要求される電子デバイスやそのほか基礎研究用途に提案する。