2020.07.17 【半導体/エレクトロニクス商社特集】菱電商事新中計、今年度からスタート

正垣 社長

 菱電商事は、20年3月期において売上高は前年比減収だったが、経常利益は増益、最終損益は過去最高益を計上するなど健闘した。21年3月期には売上高2090億円(前年比9.2%減)営業利益31億円(同44.2%減)最終損益22億円(同43.0%減)を見込む。

 正垣信雄社長は「前年は米中貿易摩擦の影響で半導体、FA事業は厳しかったが、冷熱と新規のICT事業は順調だった。各事業部門とも利益率が改善し、最終損益は過去最高を更新した。今年度はコロナの影響を想定し減収減益を予想しているが、下期の回復を期待している」と話す。

 中期経営計画「ICHIGAN2024」が今年度からスタートした。売上高2600億円、営業利益100億円以上を掲げる。戦略テーマは「環境・安心・安全でサスティナブルな社会の実現に貢献する」とし、成長事業のビジネスモデル確立と次世代新規ビジネスの創出に取り組む。

 「環境共創イニシアチブ」が公募しているZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)プランナーに昨年登録したが、今般受注に至り実績登録された。同プランナーの登録によって設備と省エネのコンサルティングを行う。

 電気通信事業者に認可を受け、新たな事業に取り組み始めている。昨年9月には内閣府が主催した「大規模地震時医療活動訓練」に電気通信事業者として参加し、スカパーJSATやDMAT隊員らと地震発生時の救助活動における情報通信の実証を行った。

 昨年12月にはサノテック(大阪市)、スタンシステム(徳島市)、SIRC(大阪市)と共同で、造船所内の溶接作業を電流センサーやLoRa無線などの活用で「見える化」して労働環境と生産性向上を目的とした実証実験にも参画した。

 車載向けではカメラ撮影による非接触心拍測定ソリューションや運転者の顔認識、視線方向検知機能を持ったドライバーモニター評価ソリューションなどを提案する。

 実績が順調に伸びている植物工場のスマートアグリ事業は、次世代アグリ技術を開発するため自社工場を設ける準備を進めている。