2020.07.21 【家電総合特集】東芝ライフスタイル小林伸行取締役社長
家電のIoT化を重要視
20年は激動の年と言えそうだ。当社にとっての半期(1-6月)が終わったが、3月末から新型コロナウイルス感染拡大の影響で売上げが落ち込んだ。
ただ、市場もそうだが、5月末ごろから外出自粛の反動とともに、暑さが本格化してきたことで一気に家電の販売が伸びた。いったん落ち込んで戻した格好で、結果として上期で前年を上回る売上げとなり、利益も確保できた。
今年度から組織体制を変更し、ユーザー・セントリックを目指す方向性をより強く打ちだした。営業では、地域や店舗ごとにきめ細かな活動ができるように、地域別に責任が明確化する体制へと変え、エリアごとに柔軟に対応できるようにした。そうした取り組みが、厳しい中でも前年を上回る売上げにつながったと考えている。
新型コロナにより、様々なレベルで価値観を変えさせられた。白物家電でいえば、これまでのようにスペックや機能といったこととは角度の異なる要求になってきているのを実感する。例えば冷蔵庫は、これまでは大容量に買い替えるというのが基本であった。しかし、そうではなく、特定の機能に絞った小型冷蔵庫を追加購入するという選択肢も生まれてくるようになった。
特にウィズコロナ、アフターコロナにあって家電のIoT化は重要な意味を持つ。健康や清潔、リモートといったキーワードで関連需要が高まっており、こうしたニーズに応えるIoT家電の提供は大事だ。外部サービスとの連携もさらに模索していく必要もある。
外部との連携では、食に関するサービスなどを当社でも模索しているが、食材配送といったサービスは既にいくつも存在している。当社ならではのサービスをどう実現するかが重要になる。
新型コロナによる新たな需要の立ち上がりはあるものの、下期は厳しい見方をしている。今年度は、21年度以降に攻勢をかけられるベースをつくる一年にしたい。
当社は18年度に黒字化し、19年度も税引前利益で10億円ほどの黒字を確保。今年度も、できるだけ100億円に近づけた利益を確保したいと考えている。
今年度から中期経営計画をスタートしたが、コロナ禍で修正が必要になっている。1年遅れ程度で当初計画22年度までにCAGR(年平均成長率)10%、ROS(売上高利益率)5%の達成にキャッチアップできるようにしたい。
その際、新事業の立ち上げや海外事業の強化も重要になる。現在、当社の白物家電は主力6製品を軸にしているが、10年、20年先を見据えて、それだけで良いのかも検討しなければならない。
海外展開も現状では新型コロナの影響がどこの国でも起こっている。そうした中でも東芝ブランドの製品は認知度が拡大してきている。日本や中国はIoT家電も展開していくが、他の国ではベーシックな機能を持った製品を中心に新型コロナの状況を見ながら、新製品なども投入していきたい。