2020.07.21 【家電総合特集】富士通ゼネラル中川陽介経営執行役常務
エアコン〝平準化〟をさらに進める
今年度のエアコン市場は、4月は新型コロナウイルスの影響で前年を大きく下回ったが、5-6月の気温上昇により、4-6月累計では前年並みまで回復してきている。特に、6月は夏日が続いたこともあり、巻き返した。
経済産業省が5月に熱中症対策の一環として「エアコン早期試運転」告知を行ったことや、当社も早期購入、平準化を図るためテレビCMを早期投入したことも功を奏し、業界平均以上の2桁伸長を図れた。
対象機種も、これまではフラグシップモデルがメーンであったが、今回は、コンパクトでデザイン性に優れた室内機「nocria」SVシリーズとした。
SVシリーズは、横幅69.8センチメートル、高さ25.0センチメートルの小型室内機なので「今までエアコンを設置できなかった部屋に追加したい」という要望にも応えやすい。開発時には「SVシリーズが設置できなければ、エアコン設置は不可能」といえるサイズにこだわった。
見た目にもこだわり、本体表面には布地の凹凸まで表現したファブリック(布地)調の柄にした。この質感を直接店頭でじっくり見ていただきたく、展示方法にもこだわっている。
通常、エアコン本体に機能や消費電力など宣伝文句を数多く表示し、視覚に訴える方法で展示している。SVシリーズは、自宅のインテリアとしてイメージできるよう、壁を模した背景に、半分以上本体が見えるようにPOPを減らして展示している。
このように、エアコンもインテリアとして考えるようになり、「レッドドットデザイン賞」を受賞するなど、高い評価を得ている。性能・機能とデザインにこだわり、SVシリーズは、好調に推移している。
今年度のエアコン市場は、昨年度の980万台に迫る販売台数が見込まれているが、現状では一昨年、昨年並みが限界だと思う。エアコン設置には工事が必須となっており、そのキャパシティが限られ、今以上に市場を広げるには、「平準化」をさらに進める必要がある。
製品においては、冷房能力だけでなく、暖房能力もしっかりと提案することで、夏場に偏りがちな需要の〝ヤマ場〟を崩していきたい。今後発売予定の寒冷地向けエアコンにも注力し、さらなる市場の拡大を目指していきたい。
北海道・東北地方の1世帯ごとのエアコン設置台数は、他地域に比べると少ない。最近は北海道でも夏日があるため、夏場の冷房需要も増加してきたが、冬場の暖房機器としての需要をご販売店さまの店頭演出などでさらにアピールし、寒冷地での拡販を進めていく。
今後、AI(人工知能)などの機能性を高めるとともに、空調の3要素の一つである気流についても、動画などを活用し、あらためて普及させていく。エアコンが季節製品から通年製品になることで、市場も広がると考えている。