2020.07.30 【電子部品技術総合特集】電子部品メーカー技術アンケート電波新聞社調べ

20年度の研究開発費計画

 「20年度の電子部品メーカーの研究開発費計画」は、新型コロナウイルス感染拡大による不透明な市場見通しを反映し、現状では「未定」としている企業が多い。

 回答18社中、半分の9社が「未定」とした。

 見通しを回答した9社を見ると、6社は前年比で「増」と回答し、そのうち2社は「2桁以上の増」と答えている(グラフは1面参照)。

研究開発部門の人員

 「総社員に占める研究開発部門(専従)の人員比率」は企業により幅がある。回答18社、最も多かったのは、「5-10%未満」と「10-20%未満」がそれぞれ6社で並んだ。「5%未満」の企業も計6社となっている。

 「研究開発部門に占める外国人の比率」の質問では、回答19社、「1割以上」と回答したのは3社。「40%台」とした企業も見られた。

需要分野別の新製品開発分野

 「20年度における新製品開発の重点分野」を聞いた(複数回答)。回答27社中、最も多かったのは昨年同様に「自動車関連」で22社に達した。次いで「通信インフラ」と「医療機器/ヘルスケア」が17社。以下、「FA/制御関連」「ロボット」と続いている。

 電子化/電動化が進む自動車は、多くの部品メーカーが最重点分野に位置付けている。通信インフラは第5世代高速通信規格5G関連の需要増への期待が高い。医療機器/ヘルスケアも電子部品の新たな成長分野として注目度が増している。

新製品販売比率

 「売上高に占める新製品販売比率の実績・計画」を聞いた。

 19年度実績は、回答20社中、最も多かったのは「30%台」と「10%未満」でともに6社。全体では半数の10社が「20%以上」と回答した。

 20年度計画でも、回答17社中で最も多かったのは「30%台」と「10%未満」のともに5社。「50%以上」とした企業も1社見られている。新製品の定義は企業により異なるが、中期での新製品販売比率向上が志向されている。

海外での設計、開発機能

 海外での設計、開発機能構築の質問(複数回答)では、回答20社中、最も多かったのは「ユーザーへの技術サービス」とした14社。次いで「生産技術開発」13社となった。以下、「機種変更のための設計」「新製品開発」が続く。

 市場のグローバル化への対応や外資系有力顧客のサポートなどのため、海外での技術体制構築は重要性を増している。各社は、海外での設計・開発機能の拡充により、グローバル需要への迅速な対応を目指す。

カスタム品/モジュール製品比率

 「売上高に占めるカスタム品比率」は、回答18社中、半数強の10社が「5割以上」と答え、うち6社は「70%以上」と回答した。「30%未満」とした企業は5社にとどまった。

 「売上高に占めるモジュール製品の比率」は、回答17社中、4割強の7社が「20%以上」と回答している。「70%以上」と答えた企業も2社見られた。

23年以降に向けたR&D強化分野

 「2023年以降を視野にR&D強化に努める分野」(複数回答)を聞いた。

 回答24社中、最も多かったのは「次世代自動車」の22社。

 以下、「IoT関連」「5G通信インフラ関連」「医療機器/ヘルスケア」「ロボット」の順となっている。

M&A/アライアンス/産学連携

 各社に研究・開発に関するM&Aやアライアンス、産学連携への取り組み状況を聞いた。

 「研究・開発におけるM&Aの取り組み」は、回答24社中、「国内企業の買収実績あり」が8社、「海外企業の買収実績あり」が1社。「実績はないが良い案件があれば検討する」と回答した企業も3社を数えた。

 「研究・開発におけるアライアンス」の質問では、回答26社で、「国内外のいずれの企業ともアライアンスがある」と答えた企業が10社に上った。

 「産学協同の研究開発」の質問では、回答27社中、「行っている」が計21社で約8割を占めた。うち、10社は「積極的に行っている」と回答した。

アフターコロナ/ウィズコロナの開発戦略

 コロナ禍が自社の開発業務に与えている影響などについて聞いた。

 「コロナ禍の開発業務への影響の有無」では、回答23社中、約4割の9社が「ある」と回答した。「影響の具体的内容」では、「顧客とのデザイン活動に遅れが出ている」が最も多く、「開発費削減」と答えた企業も多かった。

 「アフターコロナ/ウィズコロナを視野に入れた開発体制や生産体制の見直し」は、回答21社中、4割弱の8社が「見直しを行う」と回答。

 「見直しの内容」では、開発拠点や生産拠点のグローバル分散化やサプライチェーン見直しなどの回答が多く、国内生産体制を強化すると答えた企業も見られた。

アンケート回答企業一覧

 ▽アルプスアルパイン▽イリソ電子工業▽SMK▽岡本無線電機▽岡谷電機産業▽オータックス▽京セラ▽KOA▽サガミエレク▽指月電機製作所▽Sensirion Japan▽双信電機▽大陽ステンレススプリング▽太陽誘電▽タムラ製作所▽トーキン▽ニチコン▽日本ケミコン▽日本航空電子工業▽日本シイエムケイ▽日本電波工業▽日本メクトロン▽バイコー▽ヒロセ電機▽フラット電子▽北陸電気工業▽ホシデン▽村田製作所。(28社・五十音順)