2020.08.18 JUKI、産業装置の非実装領域を拡大基板検査装置や自動倉庫で実績

 JUKIは、縫製機器、産業装置両主力事業において既存事業の強化に加え新規事業の創出、事業領域の拡大に取り組んでいる。実装機を中心とした産業装置ではプリント基板検査装置や自動倉庫の非実装領域への提案を進め、成果を上げつつある。

清原 社長

 清原晃社長は「今年度上期(1-6月)は厳しい業績に終わったが、下期は新規事業創出、事業領域の拡大に重点的に取り組み、収益改善を見込む。産業装置事業は第2四半期(4-6月)から中国での設備投資需要が回復し、実装機の生産を担当するJUKI産機テクノロジー(秋田県横手市)の稼働率も90%まで戻ってきた。下期は中国の5G投資関連などで実装機市場が前年比5%程度伸びると見ている」と語る。

 産業装置事業では実装機のほか、はんだ印刷機、プリント基板検査装置、自動倉庫などの自社製品に加え、協業によりAGV(自動搬送車)など実装ラインの装置をトータルでそろえている。これら装置を統合システムであるソフトウエア「JaNets(ジャネッツ)」と連携。表面実装ラインの高効率生産を実現する「JUKIスマートソリューション」により、グローバル市場で推進する。同ソリューションを導入する企業が増えているだけでなく、非実装領域のモデルとして自社の縫製機器工場にも導入、稼働している。

 3Dプリント基板外観検査装置「RV-2-3DH」には高画素の1200万画素カメラを採用。プロセスモードの応用で、電子基板製造工場に限らず様々な工場の計測・外観検査用途に活用できる。加工部品などの平面度検査やクリアランス検査をはじめ、人による目視検査の自動化、省人化、品質向上を実現する。ガラスレンズなどで既に実績を重ねている。

 自動倉庫は電子部品以外の保管庫として、複雑な組み合わせ部品の自動出庫、AGV連携による搬送作業の効率化などを訴求。JUKI産機テクノロジーが開発したねじ締め機は、多関節ロボットを組み合わせた「MR-01」として、プリント基板用途のほか、様々な製品の組み立てなどに提案していく。

 新たに東京工業大学発の技術ベンチャー、XTIA(クティア、東京都千代田区)へ2億円を出資した。

 画像処理技術を活用し製造ラインでの検査の自動化を可能にするJUKIの外観検査装置に、XTIAの多波長かつ直進型レーザー技術を融合させ、いっそう複雑な形状を検査できる3Dハイブリッド検査装置の開発を推進。21年の製品化を目指す。これにより自動検査による非実装領域の拡大を加速させる。