2020.09.25 【九州・山口産業特集】DELIA分散エネルギーの実用化めざす

中村 代表

 DELIA(ブロックチェーンによる分散エネルギー情報基盤アライアンス)は、分散エネルギービジネスの拡大に向け、エネルギーシステムへのブロックチェーン技術の応用について調査、実証を進めている。

 福岡では10年以上前からQUEST、福岡スマートハウスコンソーシアムなどと活動を続け、18年4月から一般社団法人のDELIAとして活動。19年度は福岡市東区アイランドシティでの実証実験を開始、ローカルVPP(バーチャルパワープラント)をテーマにし、二十数社の協力体制で、分散エネルギーの実用化に取り組んできた。

 この技術を基にビジネスにつながる分野を切り出し、「JWAT WAVE」(福岡市早良区)を19年11月に設立した。より強力に推進して、様々な地域と連携を深めるとともに、DELIAでは技術取得と人材育成に向け、昨年度はセミナーや教材作成なども行っている。

 福岡での実証事業は20年3月で終了し、現在は東海地方で電気自動車を導入し、実証試験システムを構築している。

 スマートエナジー研究所ファウンダーも務める中村良道代表は、Pythonなどの言語を使ってブロックチェーンの練習キットを作成し、入門講座などを会員向けに開催して、レベルアップにつなげている。

 核となるのは暗号学的ハッシュ、デジタル署名、チェーン構造の三つ。この技術を活用し、ハッシュチェーンによる小規模の台帳管理技術を「DELIAマイクロチェーン」として、地産地消エネルギーのトレーサビリティへ活用しようとしている。

 再生可能エネルギーで地産地消率の向上は重要なテーマ。現在台帳ベースのエネルギーマネジメントシステムでデータを蓄積しており、自治体などこれからの防災計画へ提供できるよう、データベース化を図っている。

 年内には地産地消型のスーパーシティのプラットフォーム試作を行い、来年度はより具体的な事業にするための開発チームをつくっていく方向だ。