2020.10.02 【炊飯器特集】主要各社、〝炊き方〟にこだわる
パナソニックの主力製品「Wおどり炊き」SR-VSX0シリーズ
新米の季節を迎え、炊飯器の商戦も本格化していく。今年は新型コロナウイルス感染症の拡大により、在宅時間が増え、内食化が進んでおり、おいしいご飯の炊き上がりには高い関心が集まる。
炊飯器は、秋商戦でオーブンレンジなどと並び調理家電の重点商品であり、炊飯器各社の商品開発も活発だ。
炊飯器メーカー各社では、少量(1合など)でもおいしく炊ける機能など、よりおいしい炊き上がりを追求した付加価値の高い商品戦略を強化している。ここ数年は様々な素材を用いた内釜の開発や、より高火力に炊ける新炊飯方式の開発などに力を入れてきたが、最近では特に〝炊き方〟へのこだわりを各社強めている。
パナソニックは早くからプレミアムモデルに「Wおどり炊き」を採用。東芝ライフスタイルでは新たに「炎 匠炊き」を採用する。
象印マホービンでは「炎舞炊き」シリーズを、タイガー魔法瓶では「土鍋ご泡火炊き」を採用するなど、お米のおいしい炊き上がりをイメージさせるネーミングで、商品訴求に力を入れる。
各社が目指すのは、昔ながらの〝かまど炊き〟に迫るおいしさで、内釜やIHヒーターの改良、最適な炊飯プログラムの開発によって、お米一粒一粒まで、また全国の銘柄米それぞれに対応した炊き分けを実現するなど、炊飯性能を進化させている。
最近では高齢者など少人数世帯に対応。レギュラー(5.5合)サイズより小さい3合炊きなどのタイプでも、上級モデルのよりおいしく炊き上げる機能を搭載し、市場ニーズに応える傾向が強まっている。
レギュラーサイズでも、0.5合や1合などの小容量をおいしく炊き上げる機能開発も進んでいる。
このほか、共働き世帯の増加を背景に、家事省力化、時短ニーズが拡大する中で、おいしく炊ける「時短炊飯」を提案するなど、市場ニーズにキメ細かく対応した商品戦略が活発だ。
内食ニーズの拡大に対応して、「調理メニュー」搭載の炊飯器のラインアップを強化するメーカーもある。炊飯と同時に調理ができる炊飯器もある。
パナソニックの主力製品
「Wおどり炊き」SR-VSX0シリーズ提案に力
パナソニックは、スチーム&可変圧力IHジャー炊飯器「Wおどり炊き」SR-VSX0シリーズなど、Wおどり炊きシリーズの提案に力を入れる。
最上位モデルのVSX0シリーズ(5.5合/1升タイプ)は、炊き上げ工程を進化させ強火をより長く維持することで、ハリが約10%アップした〝銀シャリ〟を炊き上げる。銘柄炊き分けの種類も増え、全国米どころ18道県20銘柄の推奨炊飯器にもなっている。
VSX0シリーズは、独自の「220度高温スチーム」と「Wおどり炊き」に加え、圧力センサーで米の鮮度に合わせ炊き方を自動調整する「鮮度センシング」を搭載する。
おいしさを進化させるためにご飯の食感に着目し、昨今のトレンドである「一粒一粒しっかりしたご飯」を実現させる。炊き上げ工程で圧力センサーを使用し正確に沸騰検知することで、強火をより長く維持し、炊き上がりのご飯のハリを約10%向上させた。
炊飯工程での炊き上げは、おいしいご飯を炊き上げるために最も重要な工程で、温度上昇とともにさらに吸水・糊化を促進する。
強火で加熱し激しく蒸気が出て沸騰している状態を作ることが理想で、かまど炊きでは釜から吹きこぼしながら強火で加熱することで、一粒一粒にしっかり熱を与えている。炊飯器では吹きこぼすことができないため、従来は蒸気センサーで蒸気温度を測定し、沸騰を検知したら火力を早めに弱めていた。
VSX0シリーズでは、圧力センサーを活用し正確に沸騰を検知することで、吹きこぼれない限界のところまで強火で加熱することができる。
さらに、シリーズで初となる「タッチパネル液晶」を採用し、大きな画面で見やすく操作性も向上した。
銘柄炊き分けは58種類まで増えた。銘柄炊き米炊き分けの操作も向上。銘柄選択の画面では各銘柄の特徴を表示、銘柄を選ぶ楽しさを提案する。
「炊き込みごはん」コースも進化し、炊き上がりのべたつきが低減し一粒一粒ほぐれやすく、味が染み込みやすくなっている。
東芝ライフスタイルの主力製品 「RC-10ZWP」
大火力と火力を多段階調節、ご飯の甘みが17%向上
東芝ライフスタイルは、1420Wの大火力と火力の多段階調節で、従来機種よりご飯の甘みを約17%高める炊き上がりを実現した炊飯器「RC-10ZWP」の拡販を目指す。
10ZWPは、最大1420Wの大火力で沸騰させることで、お米の粒が立ったふっくらとした炊飯を実現する。同時に、連続加熱と連続沸騰により、うま味成分のおねばを引き出す。お米一粒一粒をおねばがコーティングすることで、粒感がありながらもうま味のあるご飯に仕上げる。
火力の多段階調節により、甘みを引き出す細かな加熱を実現。甘み成分の酵素を活性化させる温度帯(約40度から約70度)を約11%長くすることで甘みを引き出し、ご飯の還元糖量(甘み)を高めることにつなげた。大火力と火力の多段階調節を合わせて「炎 匠炊き」とし、10ZWPから採用した新しい炊飯手法だ。
蒸らし工程でも多段階火力調節でお米のα化を促進する高温を維持。炊きムラを抑えて、ツヤと甘みのあるご飯に仕上げている。
好みの炊飯時間と食感を選べる機能も備える。従来機種では好みの食感を選択すると炊飯時間が選べないといった課題があったが、10ZWPでは炊飯時間も食感も選んで炊き上げる「ねらい炊き」コースを搭載する。
「しゃっきり」「おすすめ」「もちもち」の3通りいずれの食感を選んでも炊飯時間を30-60分の間で、5分単位で設定できる。ユーザーの声を反映した機能で、細かな火力調整や圧力制御、各工程の配分調整で実現。炊きたいタイミングや気分、おかずなどに合わせて炊き上げることができる。
「おかゆ」に関しても、従来機種では最小炊飯容量が2人分相当の0.5合からだったが、水位線を追加して0.25合から炊飯できるようにした。1人分だけ作りたいという時にも気軽に炊飯できる。通常炊飯は0.5合から対応する。
バックライト付き大型液晶タッチパネルを採用し、直感的に操作できる。また、ステンレスクリーンフレームを採用しており、汚れも落としやすい。