2020.10.06 【エアコン特集】需要の二極化が加速上位機買替えと普及機追加購入

ビックカメラ日本橋三越

ヤマダデンキLABI1日本総本店池袋ヤマダデンキLABI1日本総本店池袋

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 新型コロナウイルスの影響で、エアコン需要の二極化が加速している。在宅時間が増えたことでより快適に生活するための上位機種への買い替えと、在宅勤務によって普段使用していない部屋で作業をするための普及機の追加購入--の二つだ。上位機種と安価な普及機の二極化傾向はこれまでも見られたが、コロナ禍でそれが一段と進んでいるようだ。

 日本冷凍空調工業会(JRAIA)によると、エアコンの8月出荷金額は前年同月比3.8%減の737億円で3カ月ぶりのマイナスとなった。昨年8月は、消費税増税前の駆け込み需要が発生し、出荷金額が8月単月として過去最高を記録していた。

 今年は、前年割れとはなったが、猛暑も手伝って昨年に次ぐ水準で推移した。8月国内出荷台数では、前年同月比で2.1%減の94万台だった。

寒冷地向けも訴求

 下期に向けてメーカー各社は寒冷地エアコンの訴求にも力を入れている。パナソニックは「フル暖エオリア」で、北海道や青森など各地の寒冷地で活躍するモデルやタレントを起用した体験レポートをWebの専用サイトで公開。富士通ゼネラルは「ゴク暖ノクリア」の普及のため、「ノクリア」のイメージキャラクタ・山﨑賢人さんが出演するテレビCMを、北海道や東北など12道県で放映。全国的にエアコン普及率を上昇させ、市場拡大を狙う。

 家電量販店では、メーカー内の機種比較や同位機種のメーカー比較など、ユーザーが検討しやすい店づくりを行っている。また、購入後の手入れについても詳しく説明できるよう実機を活用し接客に生かしている。

 ヨドバシカメラマルチメディアAkiba(東京都千代田区)は、内部が見えるよう、エアコンをテーブルに設置している。カバーの開け方やフィルタの取り外し方など手入れの手順を実際に試せるようにした。コロナ禍で清潔に対する意識に変化が起こり、手入れのしやすさを購入のポイントにする人が増えたため、展示方法を工夫した。

 ヤマダデンキLABI1日本総本店池袋(東京都豊島区)は、壁際だけでなく、店舗中央の目線より低い位置にもエアコンを展示している。普段間近で見る機会があまりないエアコンをじっくり見ることができるリアル店舗ならではのコーナー展開。メーカー別のディスプレイにより、機種の特徴をより比較しやすく、ニーズに合った商品の購入を手伝っている。

 量販店のエアコンコーナーは、各機種の特徴を伝えるPOPをふんだんに使用した展示が多い。そんな中、ビックカメラ日本橋三越(東京都中央区)は、ほぼ機能説明のPOPを使用していない。同店は三越のおもてなしを取り入れたスタイルのため、POPで伝えるのではなく、直接接客することでお客の疑問を解消し、お客に合った商品を提案する。

販売動向にも変化

 地域店もエアコン提案に力を入れている。今年は、新型コロナの影響で、販売動向にも変化があった。

 あきもとでんき(東京都渋谷区)は、例年より長くエアコン商戦が続いている。今年は梅雨明けが遅く、エアコンの売れ行きも例年と比べて2週間ほどずれが生じた。

 秋元浩社長は「9月上旬まで夏商戦が続き、秋商戦が後ろにずれ込んでいる」と話す。取りこぼしがないよう、一件一件丁寧に対応し、売上げにつなげている。

 パナソニック系の森山電気商会(東京都豊島区)の森山繁夫社長も、「例年ならお盆前までが忙しい。しかし今年は、新型コロナウイルスの影響などで帰省の動きもあまりなく、お盆後も忙しい状態が続いている」と話す。東京ゼロエミポイント事業も接客に積極的に取り入れる方針だ。

 「特別定額給付金からくる盛り上がりはもうほぼない」(ビックカメラ)が、在宅環境の向上を求める声に応えるべく接客を続けていく。