2020.10.09 東芝が「量子暗号通信」事業化へ英BTグループと提携、実証実験開始
東芝が次世代の暗号技術「量子暗号通信」を来年度にも海外で事業化することが、9日分かった。世界の量子暗号市場の開拓に向けて英通信大手BTグループと業務提携し、現地で9月に量子通信網の整備に向けた実証実験に着手。米通信企業などとも提携に向けた最終調整に入った。
量子暗号通信は、光の粒子(光子)に暗号化や解読に使う「鍵」の情報をのせて送る技術。高い秘匿性が求められる政府や金融、医療などといった分野への応用が見込まれている。
量子暗号関連の世界市場について東芝は、35年には2兆円規模に成長すると予測。このうち米中2カ国が3分の2程度を占める見通しだ。成長市場を巡っては、米中両国などが国家戦略上の重要技術と位置づけ、研究開発投資の拡充や拠点づくりなどを加速。国際競争が一段と激化する方向にある。
既に東芝は中国を除く市場を照準に据えて、暗号鍵の供給サービスを今年度内に国内で事業化する方針を示していた。
次世代計算機「量子コンピュータ」が実用化されると、現在の暗号方式が破られる恐れがあり、既存方式に代わる暗号技術の実用化に向けた研究開発が盛んに進められている。