2020.10.19 安川電機 、開発・販売力を強化「アイキューブメカトロニクス」を核に
小笠原 社長
安川電機は、20年度下期において新しい生産方式のソリューションコンセプト「i³-Mechatronics(アイキューブメカトロニクス)」を核に開発力や販売力を強化し、同コンセプトに基づく「安川ソリューションファクトリ」の生産方式の国内生産拠点へ展開、顧客への普及を重点に事業拡大に取り組んでいる。
同社の21年2月期上期(3-8月)連結決算(IFRS)は、売上収益1868億円(前年同期比11.8%減)、営業利益133億円(同8.3%減)、税引き前利益131億円(同7.4%減)、四半期利益95億円(同5.3%減)と減収減益だった。
小笠原浩社長は、上期業績について「世界的な新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、設備投資を控える動きからロボットの売上げが伸び悩むなど、当社の業績も厳しい結果に終わった。一方、中国では生産活動の正常化がいち早く進み、ニューインフラの設備投資が活発で自動車関連も回復の兆しが見られるようになり、当社のACサーボの動きも堅調になってきた」と説明する。
通期(21年2月期)は売上収益3668億円(前年比10.7%減)、営業利益223億円(同7.9%減)、税引き前利益225億円(同8.7%減)、当期利益155億円(同0.4%減)を予想する。
小笠原社長は「下期から来期にかけて緩やかに回復すると想定している。ACサーボの半導体・電子部品の底堅い動きや、ロボットにおける自動車関連需要の回復など明るい兆しがあるが、新型コロナウイルスの再拡大、米中貿易摩擦の再燃などにより本格的な回復までには時間を要する」と想定する。
生産現場のコンポーネントをつなぎ、モノづくりのプロセスを統合することで徹底した自動化を実現するアイキューブメカトロニクスのビジネスモデル確立を重点に掲げる。
ACサーボを担当するモーションコントロール事業部の拠点である入間事業所(埼玉県入間市)にアイキューブメカトロニクスのコンセプトに基づく次世代生産工場「安川ソリューションファクトリ」を18年に新設、稼働。インバータ事業の行橋事業所(福岡県行橋市)にアイキューブメカトロニクスの生産方式を導入するほか、ロボットを生産する八幡西事業所(北九州市八幡西区)など国内工場に展開する。
さらにYE DIGITAL(ワイ・イー・デジタル)と合弁で「アイキューブデジタル」(北九州市小倉北区)を設立、7月から稼働した。競争力のあるサーボドライブ、インバータ、ロボットのメカトロニクス技術・製品と、合弁会社に移管したYE DIGITALのIoT技術を融合することで、アイキューブメカトロニクスを軸とした製造業向けのIoTソリューションをいっそう強化する。
市場の変化にスピーディに対応できる体制の構築を目的として、安川電機グループの開発・生産技術の機能を集約し、基礎研究から量産試作までの一貫した研究開発拠点「安川テクノロジーセンタ」(北九州市八幡西区)を新設する。建築面積約1万1000平方メートル、延べ床面積約2万6000平方メートルの規模。21年3月の開所を予定している。
小笠原社長は「生産の自動化に対する動きが新型コロナでより速くなっており、アイキューブメカトロニクスに対する引き合いも増えている。安川テクノロジーセンタの開設により、アイキューブメカトロニクスの核でもあるモーションと、ロボットの統合制御を実現するコントローラの開発などスピードを上げていきたい」と期待をかけている。