2020.10.29 蓄電池やEVなど組み合わせてエネマネ出光興産が日本ユニシスと実証試験

今回の実証のイメージ図

 石油元売り大手の出光興産は10月29日、日本ユニシス(東京都江東区)と共同で、太陽光発電と電気自動車(EV)、蓄電池を組み合わせたエネルギーマネジメント技術の開発を目指し、実証試験を始めると、発表した。実際の事務所での電力需要や業務、通勤で使用するEVの稼働状況などの実績からデータを予測化したうえで、EVや蓄電池の充放電制御を最適化するシステムの構築を目指す。

 今後、再生可能エネルギーが普及し、比較的小型で分散型のエネルギーリソースが増加すればするほど、EVや蓄電池を含んだ電力の需給バランスを保つエネルギーマネジメント技術の重要性がさらに増していく。そうしたサービスの事業化を目指し、実証に乗り出す。

 実証は、出光興産の100%子会社・ソーラーフロンティアの国富工場(宮崎県国富町)で21年3-12月に行う。

 出光興産が想定するのが、EVが普及した際の職場環境。通勤用や業務用のEVの充電が重なってしまえば、電力使用がピークとなり電気料金も高騰することが見込まれる。こうした事態を最適化することでピークを抑え、料金も抑制できる。

 同工場での実証は、数十人が働く事務所棟の一部の電力を利用する。事務所棟の蓄電池や、社員が業務や通勤で使うEV各1台のほか、ソーラーパネル(出力5kW)を搭載した屋根付き駐車場からの電力供給なども受けながら、全体を最適化させる。出光興産によると、蓄電池とEVの両方を複合的に制御する技術開発の実証は珍しいという。

 現在、事務所棟での電力需要や太陽光発電量、EVの稼働状況などの実績値データの取得を続け、クラウド上などで予測化を進めている。また、多くの小売り電気事業者が電力を調達している日本卸電力取引所(JEPX)の市場価格も予測対象に含めることで「小売り電気事業者にとって電力調達するコストも最小限になるように、充電放電のタイミングを制御する」(出光興産)という。

 電力需要などの実績データをもとに、21年3月から予測値などを活用して30分単位の充放電計画を作成し、最適な制御の実証に取り掛かる。蓄電池など各設備の最適な制御を行うことで、電気料金を最小化できたり、蓄電池などの劣化を回避できたりするという。

 出光興産では将来的に、地方自治体のほか、駐車場を持つ地方の企業や工場、事務所などへのサービス提供を想定している。