2021.02.02 【コネクタ特集】需要が拡大するワンアクションタイプFPC/FFCコネクタ

ワンアクションFPC/FFCコネクタ

 最近のコネクタ業界では、ワンアクションでの嵌合が可能なロック付きFPC/FFCコネクタの製品化に乗りだすメーカーが増加している。ワンアクション化による作業時間短縮や、産業用ロボットによる自動組み立てへの対応などが提案されている。

 FPC(フレキシブルプリントサーキット)やFFC(フレキシブルフラットケーブル)を接続するFPC/FFCコネクタは、小型・高性能化の進展とともに、作業性向上のための設計改良が進んでいる。

 具体的には、カバーの開閉が不要なNON-ZIFタイプ、位置決め後にロック部品をスライドさせてロックするスライドロックタイプ、位置決め後にふたを閉じてロックするフリップロックタイプなど、時代とともに様々な進化を遂げてきた。それでも、FPC/FFCコネクタは、基本的には産業用ロボットでの自動組み立ては不可能とされてきたが、近年は、ロボット嵌合に対応できるワンアクションタイプコネクタの製品化が活発化しており、今後の普及が期待されている。

 ワンアクションタイプFPC/FFCコネクタは、FPC/FFCを挿すだけで接続作業を完了できる製品。従来は①アクチュエータを開く②FPCやFFCを挿入③挿入後にアクチュエータを閉じる-という三つの動作が必要だったのに対し、ワンアクションのみで作業が完了するため、作業工程や作業時間の大幅な短縮化が図れる。

 通常は人が実施していたロック操作などを自動で行えるため、ロボット組み立てに対応できる。さらに、AOI(自動光学検査装置)などで挿入状態の確認を行うための設計も施されている。

 一般的なFPCコネクタの場合、FPC挿入時に可動片の操作が必ず入るため、可動片が外れたり、作業中にコネクタが壊れるなどのリスクがあるが、こうしたリスクを排除できるワンアクションタイプコネクタの開発に力が注がれている。

 コネクタメーカー各社は、他社との差別化を図るため、ワンアクションFPC/FFCコネクタのさらなる設計改良にも力を注いでおり、挿しやすく抜けにくい内部構造など、良好な作業性が追求されている。ワンアクションタイプコネクタのさらなる低背化設計などに照準を合わせた技術開発も進展している。

 ワンアクションタイプFPC/FFCコネクタの用途は、スマートフォンやデジタルカメラなどの民生機器をはじめ、小型産業機器や小型医療機器などにも広がっている。

 世界的な労働者不足の深刻化や、働き方改革への関心が強まる中で、生産工程の自動化ニーズは、ますます高まっていくことが予想されている。ワンアクションタイプFPC/FFCコネクタは、工場のスマート化の進展とともに、今後も需要が拡大していくことが期待されている。