2021.03.08 非日常の提案を目指す店づくり二子玉川 蔦屋家電の藤本剛店長に聞く

藤本剛店長。周りにあるのはレンタルできる家電

 コロナ禍を受けて、二子玉川 蔦屋家電(東京都世田谷区)が店舗の在り方を変化させている。2月に開設した「シェアラウンジ」は、ソフトドリンクプランで30分・税別550円から利用できる。3万円の月額会員プランも用意した。「非日常」の提案を目指す同店が取り組む新たな店づくりとは――。藤本剛店長に話を聞いた。

 ―シェアラウンジの利用状況はいかがですか。

 藤本店長 1時間から1時間半程度の利用が多いが、全体の20%のお客さまが一日利用(ソフトドリンクプランで税別2500円)している。仕事で使っている方や学生、クリエイターなど様々なお客さまが利用されている。

 もともと「BOOK&CAFE」コーナーとしていた空間だったが、コロナ前から様々な使い方をするお客さまがいた。コロナ禍による生活スタイルの変化に合わせ、よりお客さまのニーズに沿うように改装した。

 ―座席の配置はどのように決めましたか。

 藤本店長 当店のお客さま層や物販での使われ方、お客さまからの声などを分析し、どういう席を用意するのがよいかを考えた。1人用もあればボックス席もあり、ニーズに合わせて席と形状を工夫した。

 ―30種類以上の家電を無料レンタルできるのも特徴的ですね。

 藤本店長 家電レンタルでは、充電器やヘッドホン、ハンドマッサージャーなどの利用が多い。1人席で使っているデスクライトが売れるなど、シェアラウンジで使っている家電が実際の購入につながったケースもあり、物販とのシナジーも出てきている。仕事などで実際に使ってみるからこそ、もう一段踏み込んだ体験となり、販売につながっているのかもしれない。

 ―レンタルできる家電は随時入れ替えや追加していく考えですね。

 藤本店長 調理家電は、その場ですぐに、セルフで使える商品を選んでいく。利用者に対する接客やアンケートなどを通し、お客さまの声を拾って家電は拡充していきたい。SNSからは美容家電に対する声も上がっている。シェアラウンジを使ったワークショップなども今後は検討していく。
 ニーズが変われば、どんどんアップデートしていく。利用状況などを見ながらレイアウト変更を含めて検討していくことになるだろう。

 ―コロナ禍での店舗全体の状況は。

 藤本店長 昨年の緊急事態宣言下では4月から5月中旬まで店舗を休業し、その後も時短営業で対応している。今年に入り2度目の緊急事態宣言が発出され、当初は来店客が減少したが、回復傾向にはある。
 これまでは観光のような意識で来店するお客さまも多かったが、今では目的を持って来店されるお客さまが多くなった印象だ。その分、お客さまが多く来店されるピークタイムが前よりも短くなった。
 この5年間で、蔦屋家電エンタープライズ(東京都世田谷区)が調達した独自家電の売上げ比率は、当店で85%(20年11月現在)に達している。独自家電の提案やシェアラウンジなど、テナントを含めて全体的な増客につながる店づくりをこれからも進めていく。