2021.05.20 【EMC・ノイズ対策技術特集】コネクテッドカー向け無線通信性能計測システム 東陽テクニカが中国・CICVから受注

コネクテッドカー向け無線通信性能計測システム

 東陽テクニカは、中国現地法人の東揚精測系統(上海)有限公司(TOYO Corporation China、所在地:中国・上海)が、中国の国家研究機関であるChina Intelligent and Connected Vehicles(Beijing)Research Institute Co., Ltd.(本社=中国・北京、以下CICV)から「コネクテッドカー向け無線通信性能計測システム」を2021年3月に受注、4月に契約締結したと発表した。受注金額は約5億円、納入時期は2022年6月を予定している。

 同システムは、LTE携帯端末および基地局向けの試験方法として3GPPに認可されたRadiated Two-Stage(RTS)法を、コネクテッドカーに必要な車載無線通信性能計測に適用したもの。自動車向け大型EMC電波暗室への流用ができるため、コネクテッドカーの開発に不可欠な車載無線通信性能評価を既存のEMC評価と併せ、OTA試験ニーズに向けたトータルソリューションの提供が可能になる。

 受注したCICVは中国でICV(Intelligent Connected Vehicle)業界をけん引する先進技術を持った国家研究機関であり、今回の受注を機に、東陽テクニカのEMC分野における国内・海外での実績を生かし、新たなトータルソリューションとして中国だけでなく日本、米国へと展開を広げていく。

 今後も先進運転支援システム(ADAS/自動運転〈AD〉)の開発に必要な計測ソリューションを国内外のマーケットに提供することで、より安全な自動車の開発に貢献していく。

背景/狙い

 自動運転レベルが進む中、信頼性の高い先進運転支援システム(ADAS)/自動運転(AD)実現のために、車両の無線(V2X)通信性能をOTAで計測する重要性が高まっている。中国では、これらの評価を車両販売に必要な認証試験とする動きがあり、各国家試験機関で、これら新技術に対応した新しい計測システムの導入が検討されている。また、コネクテッドカーで使用する通信技術として中国では主にセルラーV2Xの採用を推進している。このセルラーV2Xの通信モードの一つであるモバイルネットワークで5Gセルラー通信技術が普及すると、その通信技術がインテリジェントネットワーク車両の主流技術となり、自動運転市場を席捲することが予想される。しかし、従来のOTA計測システムでは車両システムを評価する性能が限られており、このような無線通信下におけるコネクテッドカー開発で必要な測定ニーズに対応できていなかった。

~コネクテッドカーの開発に不可欠な車載無線通信性能計測を可能に

 このほど受注となった「コネクテッドカー向け無線通信性能計測システム」は、携帯端末・アンテナおよびOTA試験の分野で業界トップの専門技術集団General Test Systems Inc.(本社=中国広東省深圳市、GTS社)が開発した自動車の無線通信性能を計測するシステム。当システムはGTS社の特許技術で、LTE携帯端末および基地局向けの試験方法として3GPPに認可されたRadiated Two-Stage(RTS)法を、コネクテッドカーに必要な車載無線通信性能計測に適用したものだ。コネクテッドカーの開発に不可欠な放射性能、受信感度、受信電磁干渉、マルチアンテナ性能評価、および実環境下での車両の通信性能も評価可能。

 ~海外展開も視野に、EMC実績を生かして新たなトータルソリューションを提案

 自動車の無線通信性能評価は、既存のEMC試験設備を拡張することで当システムの導入が可能。進化するコネクテッドカー開発に必要となる「EMCを含めた無線通信品質に対する計測ニーズ」に応えるべく、同社のEMC試験システムにおける国内での40年以上の販売実績や中国での300件以上の販売実績を生かし、EMC試験と無線通信評価を融合させた新たなトータルソリューションの提供でさらなる市場拡大を狙う。

「コネクテッドカー向け無線通信性能計測システム」製品の特長

 ・GTS社の特許技術で、3GPPに認可されたRTS法を利用

 ・自動車などの大型の被試験体でも3D MIMO試験が可能

 ・自動車向け大型EMC電波暗室の流用が可能

 ・放射性能、受信感度、受信電磁干渉、マルチアンテナ性能評価、実環境下での車両の通信性能の評価など、多くの試験項目に対応。