2021.06.21 街ぐるみで「空気の見える化」みんな電力、伊勢・おかげ横丁にコロナ対策

おかげ座の外観

五十鈴川カフェの店舗内に設置された機器五十鈴川カフェの店舗内に設置された機器

五十鈴川カフェの店内五十鈴川カフェの店内

五十鈴川カフェの外観五十鈴川カフェの外観

 新型コロナウイルス感染拡大の長期化で、空気環境の管理が注目される中、再生可能エネルギー系新電力のみんな電力(東京都世田谷区)は、観光地など街ぐるみで「空気の見える化」に取り組むサービスを始めた。人の「密」度合いを示す二酸化炭素(CO₂)濃度などを管理し、観光客らと共有することで安心な行楽を後押しする。第1弾として、三重県有数のスポット、伊勢神宮そばの「おかげ横丁」(三重県伊勢市)で試験導入を進める。

 おかげ横丁は、伊勢神宮内宮の鳥居前の一角にある。約1万3000平方メートルに、江戸時代から明治期にかけての建物を再現。土産店や料理店、工芸店など約60店舗が並ぶ。コロナ禍前には、国内外からの参拝者ら年間約500万人の観光客が訪れた。

 地元名産の和菓子を販売する赤福(三重県伊勢市)のグループ会社、伊勢福が、おかげ横丁を運営する。伊勢福の担当者は「まずは換気などの対策がきちんと結果を出しているかを確認したうえで、今後は、お客さまにも結果を示して安心してもらいたい」と話す。

 17年11月にみんな電力を通じて、おかげ横丁が県内の太陽光発電施設からの再エネ電力を地産地消するようになったことが縁。そうして、今年5月から試験的に、同社のサービス「MADO(マド)」の導入も始めた。

 マドでは、店舗内に計測センサーを設置し、温度や湿度に加え、空気中のCO₂濃度、微小粒子状物質(PM2.5)濃度などを測定。15分ごとにクラウドにデータ送信し、一括管理できるとともに、店舗内のモニターなどに表示することで観光客や従業員らに空気の環境状態を共有できる。

 おかげ横丁では、通り全体を管理する事務所で一括してデータを集約。混雑具合などをリアルタイムで把握し、換気などの感染防止策の強化や、密状態を避けさせるために観光客の誘導を促したりもすることなども想定しているという。

 現状では、人の出入りが多い店舗などにセンサーなどを設置。展示館「おかげ座」や喫茶店「五十鈴川カフェ」など約5店舗で配備しているが、今後、全店舗への拡大を検討していくという。みんな電力の担当者は「店舗がどんな状況かをリアルタイムで把握することができ、現場が忙しく忘れがちになる換気の連絡などを継続してできる」と話す。

 マドのサービスは既に、全国にチェーン店を展開するドラッグストアなどで導入が進んでいるが、街ぐるみなど地域一帯で対応する例は初めてという。他にも自治体などからも相談が寄せられている。

 みんな電力は、効率よい換気にも役立ち、使用電力の削減などにも寄与できるとして、電力を供給する企業などに提案していく考えだ。